No border ~雨も月も…君との距離も~
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ー 金沢 ー

片町のスクランブル交差点を 見下ろすビルに、新しくできた カフェ。

BIG4の会員で バンド仲間の 結婚式を祝った後、私と鈴ちゃんは 北欧風の白木のイスに 腰掛けてぼーっと 肘をついていた。

落ち着いているけど、色鮮やかな壁紙の店内。

全面 ガラス張りの窓から、スクランブル交差点を規則正しく、行き交う人々を見下ろす。

汗をかいたグラスの氷が ストローを回す度に、カラン…と 鳴る。

「 いい結婚式だったね。久しぶりに、感動…っていうのかな。 泣けたぁ~。」

「 うん。」

「 ……なんか、紗奈? 元気ないよぉ?」

「 えっ ううん。 あるよぉ~(笑)
ただ……忘れてたなぁって思って。」

「 ……ん?」

「 10代で 初めての彼氏ができた時…半分まだ子供だったクセに、この人と結婚したいっ!……なんて、思ったりしたなぁ~って(笑)
私って、5人兄弟の 一番上の姉だから リングボーイは 一番下の弟かなぁ~って妄想したりして……。」

「 (笑) いいね。いいね。」

「 それなのに……。」

「 それなのに? (笑) 」

「 シンと付き合ってからは、そういうの…結婚?とか、考えたことがなかったから……。」

「 どーしてっ!? 私なんか、いつも考えてるけどっ(笑)。 タクと結婚したら……ん~こーかなぁ、あーかなぁって。(笑) 」

「 (笑)ははっ……鈴ちゃんらしーーっ!」

………………。 しばし、沈黙。

「 どーして。 紗奈は 考えないの?」

「 どーしてって。 わかんないけど……。
あんな風に 幸せそうな お嫁さんを見たら、なんか単純に 羨ましいなぁって。
私、どうなっちゃうんだろう……って。」

「 先が見えない?」

「 うん。 まぁ。」

「 いつか、別れが来るんじゃないかって……?」

「 う………うん。」

「 傷つくんじゃないか……って? 」

「 うん。(苦笑) てか 鈴ちゃん、メンタリスト?よくわかるね。」

「 同じだよ。結婚の妄想の後に 必ず そう思う。」

鈴ちゃん……。

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