No border ~雨も月も…君との距離も~
彼女は、グラスのアイスカフェラテを 一気に飲み干した。

「 鈴ちゃんが いてくれて……私、嬉しいよ。」

「 ど~いたしましてぇ~(笑) 」

おどけてみせる 鈴ちゃんに、私も変顔で答えて クスクス笑った。

「 “ pure white you ” 式場のロビーで流れてたね。やっぱ、いい曲。」

「 うん。(笑) 」

「 ねぇ…紗奈。
別れってさぁ~。別れる理由が 必ずあって…別れなくちゃいけない 時があって……。
だから、
もし……そんな日が来るとしたら、私は 全力で傷つくつもりだよ。
それでいいって……思ってる。」

「 傷ついても……いいって思えるってこと?」

「 うん。タクのことが 好きだから、傷ついてもいいっ……今を、精一杯好きでいたいから。」

「 傷ついても……いいと思える恋……?」

「 先が見えない?いつか別れが来るんじゃないかって?
誰と付き合っても、それって同じじゃない?」



夢ぐらい見ても いいじゃん。

少なくともシンの書いた “ pure white you ”。

彼女が 羨ましい

そう…思うよ。


「 ありがとっ。鈴ちゃん……
少し、元気でたっ。(笑)
最近、本当に忙しいらしくて……シンからの連絡もスタンプだけってこと 多いから。
夏香さんから、あんな風に言われちゃったら…こっちからは 何だか 電話、掛けづらくて。」

「 ……てか、シンは元々スタンプだけ だったじゃん。 ボイトレとか、レコーディングとかで スタジオに入ってることも多いだろうから、もしかしたら 大事な仕事の電話とかを 夏香さんにお願いしてるのかもよ!」

ただ……それだけってこと あるよ。

「 鈴ちゃんの 前向きな所……好きだよ(笑)。」




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