No border ~雨も月も…君との距離も~
“ 逢いたい。” の呟きは、祈りにも似た 願いになる。

カオリちゃんの 前に、穏やかで それでいて力強い道が見えた。

迷いのない 未来……

母になるって すごい。

私と鈴ちゃんは、思わず見とれる。

「 鈴ちゃんっ。」

「 ん?」

「 今日、東京 行こっか。」

「 (笑) うん。それなっ。」

ねぇ……鈴ちゃん、

私 、シンに逢いたいよ。

結婚に憧れたり、ママになる幸せを感じたり……

それもいいけど、

今はね 、ただシンに逢いたいだけ。

それって、未来が不安だからって 目を逸らしているわけではなくて……

最高に前向きで、そのまんまなんだ。

今の 私が夢みることって、

シンの傍に いたい。

シンの肩に触れながら、そこからの景色が見たい


たった、それだけでいい。



鈴ちゃんが……

「 今日の 紫のワンピ、紗奈にすごく似合ってるから …きっとシン 惚れ直すよぉ~♡ 」

なんて言って、私の動画をシンに送ったりしたせいで…気になることが また増えた。

既読したわりに……リアクションの無いシンに、

めっちゃ 腹立つーーーーー!!

逢ったら、無視っ。

逢ったら、首 締めーーーーーる!!

逢ったら……

きっと。 抱きしめる……。

ぎゅっと。 きっと、抱かれたくなる。


私と鈴ちゃんは、その日の夕方 かがやきに飛び乗った。

“ シンの傍に いたい。 ”

“ 逢いたい。”

それって ワガママ…?

それって、自分のことばっかで…自分の想いばっかで…。

でも……

“ 逢いたい。” って いい言葉だと 思う。

そう呟いた回数は……シンを想った回数。

数えきれなくて、いいよね。

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