No border ~雨も月も…君との距離も~
「 あっ……シン君、待って!
この チケットに、サインして 貰えますかっ?」
ラムは 大きなロゴ入りの ブランドバッグの奥から、マーカーを探して シンに渡した。
シンは、心の中でヤキモキしながらも…態度に出さないように チケット裏にサインすると ラムに手渡した。
「 こんなんで…いいのかな。」
「 嬉しいっ!!ホント…すごーく嬉しいっ。一生大事にする~♡ 」
「 (笑) 大袈裟だよ……。
って……ことで、ホントごめんね。ちょっと、急いでて …俺、行かなきゃっ!!」
「 シン君っ…このサイン入りチケット、バックパスってことで、ライブの後 楽屋にお邪魔していいですか?」
シンは、とにかくこの場を 振りきって前へ進むことにする。
「ぜひっ!」と笑うと 軽く頭を下げて、エレベーターではなく 階段を 駆け下りた。
狭い非常階段の出口から 一歩外に 飛び出すと、夏の生ぬるい夜風は まだ洗浄されることなく、昼間の人間社会の息づかいが 残り香として、残っていた。
埃っぽく流れる都会の0時に、舵を取る方向も定まらないまま…シンは 想いのままに 走り出した。
「 ……ったく、どこ行ったんだよ。」
着信もない。
返信もない。
通話できない スマホの受話器マークを、親指で滑らせながら シンは、息を切らせた。
商店街の入口に入って 駅へと近道する。
酔っぱらいの男たち数人が 、女の子たちに声を掛けながら ふざけ合っている。
満更でもなく 楽しんでいる表情の、彼女たち。
繋がらない 携帯への イラ立ちと焦りが、シンを一層 …早足にさせた。
この チケットに、サインして 貰えますかっ?」
ラムは 大きなロゴ入りの ブランドバッグの奥から、マーカーを探して シンに渡した。
シンは、心の中でヤキモキしながらも…態度に出さないように チケット裏にサインすると ラムに手渡した。
「 こんなんで…いいのかな。」
「 嬉しいっ!!ホント…すごーく嬉しいっ。一生大事にする~♡ 」
「 (笑) 大袈裟だよ……。
って……ことで、ホントごめんね。ちょっと、急いでて …俺、行かなきゃっ!!」
「 シン君っ…このサイン入りチケット、バックパスってことで、ライブの後 楽屋にお邪魔していいですか?」
シンは、とにかくこの場を 振りきって前へ進むことにする。
「ぜひっ!」と笑うと 軽く頭を下げて、エレベーターではなく 階段を 駆け下りた。
狭い非常階段の出口から 一歩外に 飛び出すと、夏の生ぬるい夜風は まだ洗浄されることなく、昼間の人間社会の息づかいが 残り香として、残っていた。
埃っぽく流れる都会の0時に、舵を取る方向も定まらないまま…シンは 想いのままに 走り出した。
「 ……ったく、どこ行ったんだよ。」
着信もない。
返信もない。
通話できない スマホの受話器マークを、親指で滑らせながら シンは、息を切らせた。
商店街の入口に入って 駅へと近道する。
酔っぱらいの男たち数人が 、女の子たちに声を掛けながら ふざけ合っている。
満更でもなく 楽しんでいる表情の、彼女たち。
繋がらない 携帯への イラ立ちと焦りが、シンを一層 …早足にさせた。