No border ~雨も月も…君との距離も~
*・゚゚・*:.。..。.・゚・*:.。. .。.・゚゚・*
はぁ…… はぁ……。
赤信号で やっと足を止めると、シンのこめかみを今頃になって アルコールがズキズキさせる。
交差点。
渡った先は 駅の高架下の広場。
赤信号と横断歩道のストライプが 頭の中で変にリンクする。
二人を見つけて、一瞬……
視界が 歪む。
夏香の写メを、もう一度 突きつけられたかと思った。
“ これでも、庇うの?……”
紗奈と付き合う前から…翔平の気持ちに気づいていた。
あの頃の俺……サイテーだと思う。
翔平が紗奈に 優しく話かけるから…すごく大事そうな距離を見ていると 気になった。
その、ボーダーが すごく気になって……
気がつくと 彼女が欲しくなった。
初ライブのあの日、俺の襟足に触れたのは…紗奈。不思議な感情に火をつけたのは 翔平。
自分の彼女を抱き締める 親友の腕。
サイテーなのは…よく分かってた。
けど、
お前じゃん……火をつけたの。
「 マジかよっ。何だよっ……。」
二人と自分の間に、いくつものボーダーが拒む。
青信号が移り込む…横断歩道。
蒼く降り注ぐ、月の光。
シンは…ガードレールのポールに蹴りを一髪。
「 ……いっ痛ぁ……っ」
響く乾いた音に 通行人が振り返って、そそくさとシンから距離をとる。
てか……不審者かよっ。 俺。
「 ……ってぇ。頭も足も……痛てぇし。」
入れる隙間のない二人を目の前にして、赤の他人の冷たい視線なんて……
どうでもいい。
「 ワンピ……紫の。
まだ、かわいいって言ってないじゃん。
似合ってるって……俺、まだ伝えてないじゃんよぉ……。」
耳に当てたままだった、スマホの手を降ろして…シンは高架下の支柱、
二人から見えない位置にズルズルと座り込んだ。
「 頭…… 痛ってぇ……。」
どうして、
どうして…想いはこんなに行き違うんだろう。
好きは、時に素直じゃない。
好きだから……素直が悔しくなる。
はぁ…… はぁ……。
赤信号で やっと足を止めると、シンのこめかみを今頃になって アルコールがズキズキさせる。
交差点。
渡った先は 駅の高架下の広場。
赤信号と横断歩道のストライプが 頭の中で変にリンクする。
二人を見つけて、一瞬……
視界が 歪む。
夏香の写メを、もう一度 突きつけられたかと思った。
“ これでも、庇うの?……”
紗奈と付き合う前から…翔平の気持ちに気づいていた。
あの頃の俺……サイテーだと思う。
翔平が紗奈に 優しく話かけるから…すごく大事そうな距離を見ていると 気になった。
その、ボーダーが すごく気になって……
気がつくと 彼女が欲しくなった。
初ライブのあの日、俺の襟足に触れたのは…紗奈。不思議な感情に火をつけたのは 翔平。
自分の彼女を抱き締める 親友の腕。
サイテーなのは…よく分かってた。
けど、
お前じゃん……火をつけたの。
「 マジかよっ。何だよっ……。」
二人と自分の間に、いくつものボーダーが拒む。
青信号が移り込む…横断歩道。
蒼く降り注ぐ、月の光。
シンは…ガードレールのポールに蹴りを一髪。
「 ……いっ痛ぁ……っ」
響く乾いた音に 通行人が振り返って、そそくさとシンから距離をとる。
てか……不審者かよっ。 俺。
「 ……ってぇ。頭も足も……痛てぇし。」
入れる隙間のない二人を目の前にして、赤の他人の冷たい視線なんて……
どうでもいい。
「 ワンピ……紫の。
まだ、かわいいって言ってないじゃん。
似合ってるって……俺、まだ伝えてないじゃんよぉ……。」
耳に当てたままだった、スマホの手を降ろして…シンは高架下の支柱、
二人から見えない位置にズルズルと座り込んだ。
「 頭…… 痛ってぇ……。」
どうして、
どうして…想いはこんなに行き違うんだろう。
好きは、時に素直じゃない。
好きだから……素直が悔しくなる。