No border ~雨も月も…君との距離も~
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「 なんかさぁ~。BIG4に入って来たかと思ったら……馴れ馴れしく シンに電話して、次のアルバムがどうとか ツアーの日程がどうとか……。」

電話……。

私には かけられない時間帯がある。

きっと。 出てくれない気がして、かけられない。

寝てる…よねって。

それとも、その人の電話は……出るの……?

出れるの……?

気を使いすぎかな……。



「 何様ですかっつーの! 色々と シンから聞き出して、張り切っててさぁ~。」

「そう……なんだ。でも、それだけ彼女…信頼もあるってことだよね。」

「 うん……。まぁ~。
夏香さんのこと、忘れてたわけじゃないんだけど……。むしろ、気になってたんだけど……。」

「 夏香さんって、言うんだ。」

「 うん。歳は私達より 一つ上で、タクとか翔平君は そう呼んでる。
シンは……夏香って呼び捨てしてるけど。」

私と鈴ちゃんは 横に並んで、コンビニへ向かう。

風が 強くて冷たくて、ジャケットを 胸の前で押さ
えて 二人とも顔を横に向けて話す。

頭のてっぺんで 北風を押し返す。

「 夏香さんって……シンの初代アッシー なんだとさっ!」

「 (苦笑) 何? ソレ。」

「 かおりちゃんが2番目で、3番目がYOU。」

「…………。(苦笑) いいよ。その情報……。」

「……だよね。(苦笑) この前さぁ~ 紗奈に、アッシーなんて 冗談で 言ってたりしてたけど、
あの後 どーよ。シンと何かあったりしないの?」

「 何かって……何もないよぉ。いつも通り…シンは すぐにバイトだし。」

鈴ちゃんは少し間を 置いて、

「 夏香さんってさっ……シンの初めての 女だって噂あんだよね。」

胸が…… チクンとした。

北風に一瞬 負けそうになる。

コンビニの店内になんとか たどり着いたけれど…

動揺してるせいか、何を買いに来たのか……なにを買いたいのか……眼が泳ぐ。

私って、シンのことを何も 知らない。

何も……わかっていない。

このコンビニだって、彼が 何を一番先に手にするのか……

何が……好きで、何を選ぶのか?

想像すらつかない。

胸の奥が……また、チクン 。

もし 本当に 初めての人だとしたら……特別なのかな?

私は……何番目だろう。

アレっ? そうだ。

何番目にも、なってない。

胸にまた……チクンが 突き刺さった。




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