No border ~雨も月も…君との距離も~
*・゚゚・*:.。..。.・゚・*:.。. .。.・゚゚・*
私が 夏香さんと初めて 話したのは、それから3日ぶりのバイト中だった。
まだ 音の無いBIG4は 私が鍵を開けると、埃っぽい匂いと煙草の匂いとが、静かに籠っていた。
この静かな ライブハウスが…… 実はすごく好き。
ヒヤッとする空気と 黒い機材の塊が
なぜだろう……
ドキドキする。
それなのに……安心する。
この街の この小さな狭い箱が、私の居場所。
最近 特に そう思う。
ここには漠然と……夢が 漂っていた。
BIG4の 受け付けカウンターの棚に 長年 居座っているであろう、年期の入ったオーディオの電源を入れるとSEX PISTOLSのAnarchy in the U.K.が流れ出した。
昨晩も ashがいた気配を感じる。
クリスマスライブで 他のバンドとコラボするらしい。
この アナーキー全開の曲は シンが歌うとどうなるんだろう……。
ドキドキする。
きっと全然 違う……声も、歌い方も。
ワクワクする。
そんな事を 考えながら スタジオ表の チェックから仕事を始めた。
「 おはようございますっ!」
昼過ぎの ライブハウス
業界挨拶の 声の主は 珍しく女性だった。
直感で……
夏香さん……? って思った。
真っ直ぐな黒髪のボブに、真っ赤なグロスがスゴく似合って……
キレイな……人。
業界人っぽい パンツスーツが、彼女の 華奢な腰回りを強調して 垢抜けた都会の風に当てられた 感じがした。
彼女は 私に軽く目を合わせると、会釈しながら
スマホを耳にあて ツカツカと カウンターの前を
通りすぎた。
もしかして……
相手は シン……?
なんて 思ってしまう。
昨日も 交通誘導のバイトの合間に “ 寒い顔 ”のスタンプをくれたきり、声を聞いていない。
いつの間にか オーディオは QUEENの バラードに 変わっていて、夏香さんの姿をチラ見しながら 切なくなっている 自分に気づいた。
そんな私に……気づいてか、たまたまか……。
タイミングよく スマホを切った夏香さんが、私の方に近づいて来た。
「 さっき……SEX PISTOLS 鳴ってたよねっ。」
「 あっ……はい。リピート……します?」
「 その 南京錠のチョーカー、シド・ヴィシャス?
リスペクト?」
夏香さんは 私の胸のチョーカーを 指差した。
「あ~。別に……シド意識ってわけじゃ ないですけど……。」
「 翔平も 同じの付けてたし……。っと思って。」
めちゃくちゃ ドキッとする!
初対面から……ぐっと入ってくる人。
「 あっ!たぶん…今度のイベントでSEX PISTOLSのカバーするから、同じもの 欲しいって言ってたかも……です。」
「 そういうのって、ファンの子が見たら 誤解しちゃうと思わない? 」
「 あっ……あの、とります。 私……。」
ホントに、誤解だっ!
私は 慌てて 首の後ろに 手を回す。
「 (笑) 冗談 冗談。
ごめんなさいっ、!(笑)
私、篠田 夏香って いいます。初めまして。」
私が 夏香さんと初めて 話したのは、それから3日ぶりのバイト中だった。
まだ 音の無いBIG4は 私が鍵を開けると、埃っぽい匂いと煙草の匂いとが、静かに籠っていた。
この静かな ライブハウスが…… 実はすごく好き。
ヒヤッとする空気と 黒い機材の塊が
なぜだろう……
ドキドキする。
それなのに……安心する。
この街の この小さな狭い箱が、私の居場所。
最近 特に そう思う。
ここには漠然と……夢が 漂っていた。
BIG4の 受け付けカウンターの棚に 長年 居座っているであろう、年期の入ったオーディオの電源を入れるとSEX PISTOLSのAnarchy in the U.K.が流れ出した。
昨晩も ashがいた気配を感じる。
クリスマスライブで 他のバンドとコラボするらしい。
この アナーキー全開の曲は シンが歌うとどうなるんだろう……。
ドキドキする。
きっと全然 違う……声も、歌い方も。
ワクワクする。
そんな事を 考えながら スタジオ表の チェックから仕事を始めた。
「 おはようございますっ!」
昼過ぎの ライブハウス
業界挨拶の 声の主は 珍しく女性だった。
直感で……
夏香さん……? って思った。
真っ直ぐな黒髪のボブに、真っ赤なグロスがスゴく似合って……
キレイな……人。
業界人っぽい パンツスーツが、彼女の 華奢な腰回りを強調して 垢抜けた都会の風に当てられた 感じがした。
彼女は 私に軽く目を合わせると、会釈しながら
スマホを耳にあて ツカツカと カウンターの前を
通りすぎた。
もしかして……
相手は シン……?
なんて 思ってしまう。
昨日も 交通誘導のバイトの合間に “ 寒い顔 ”のスタンプをくれたきり、声を聞いていない。
いつの間にか オーディオは QUEENの バラードに 変わっていて、夏香さんの姿をチラ見しながら 切なくなっている 自分に気づいた。
そんな私に……気づいてか、たまたまか……。
タイミングよく スマホを切った夏香さんが、私の方に近づいて来た。
「 さっき……SEX PISTOLS 鳴ってたよねっ。」
「 あっ……はい。リピート……します?」
「 その 南京錠のチョーカー、シド・ヴィシャス?
リスペクト?」
夏香さんは 私の胸のチョーカーを 指差した。
「あ~。別に……シド意識ってわけじゃ ないですけど……。」
「 翔平も 同じの付けてたし……。っと思って。」
めちゃくちゃ ドキッとする!
初対面から……ぐっと入ってくる人。
「 あっ!たぶん…今度のイベントでSEX PISTOLSのカバーするから、同じもの 欲しいって言ってたかも……です。」
「 そういうのって、ファンの子が見たら 誤解しちゃうと思わない? 」
「 あっ……あの、とります。 私……。」
ホントに、誤解だっ!
私は 慌てて 首の後ろに 手を回す。
「 (笑) 冗談 冗談。
ごめんなさいっ、!(笑)
私、篠田 夏香って いいます。初めまして。」