No border ~雨も月も…君との距離も~
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シンの隣で目を覚ました時は、もう昼に近い時間になっていた。

少し日焼けした シンの肩に そっと頬を寄せると寝息の間に 彼は身体をよじって私の方へ右腕を被せてきた。

シンの体温が 直に私の皮膚に伝わる。

皮膚は 溶け合える……

シンの香水の香りは、ここまでくると もう麻痺して 分からなくなる。

混じり合うと 分からなくなった。

朝方、二人で帰って 私たちはやっぱり…ひとつになる。

「ただいま」と「おかえり」を 忘れてひとつになる。

甘くて…激しい時間は 今までの不安を全て消去して 興奮する身体とは うらはらに 心は落ち着いた。

傍にいたいだけだと言いながらも…

そんなの きれい事。

抱かれてみないと…わからない。

それは、以前と変わらない…シンはそういう人。

まるで……

やってはいけない麻薬のように…

その場しのぎかもしれない 安らぎに私はすがっているのかもしれない。

未来なんて描けない…それなのに シンがいないともう…ダメで。

だから…

彼に抱かれると全ての欲から 解き放たれる。

堕ちる恋に少し怖くなる。

そんな風に感じながら、彼の寝顔を見つめる私に気づいた??

………それとも、なんとなく察したのか?

シンは大きく伸びをすると、色っぽい流し目で私を探り当てる。

「 ん? ……おはよ。」

「 ……う…ううん。 おはよう。」

なんだか、お昼の光を通して目が合うと…今更、照れる。

「 何?」

「 なっ…何にもないよ… 」

「 何?…なんだよぉ~(笑) 」

久しぶりだから照れるって…今更、言えなくない?

「 …………おかえり…なさい。」

「 あっ!(笑) わかったぁーーーーー。
昼間っから、また したいの?」

「 ………。ちっ…ちがいますぅ!
こうしていたいだけっ!! 」

裸のままに近い状態だったことを 思い出して、私はわざとシンに背中を向けた。

シーツを握って、今更…胸をかくしてみたり。

「 ただいまっ…♡」

「 (笑)♡ 」

シンは、私の身体に覆い被さるようにして スマホに手を伸ばすと、口ほどにもなく、しれっとそれをいじりだす。

わざと、寄りかかっている………でしょ。

お……重い。

「 うわぁ~。夕方、雨じゃん…。
原チャリ 無理かぁ。 紗奈ぁ…久しぶりに 送ってよ。 BIG4。
久しぶりにAスタでの練習 おさえてみたんだ。」

「 ……う…ん。いいよ 。私も夕方からバイト入ってるし。 ていうか……重い…ってばっ。」
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