No border ~雨も月も…君との距離も~
「 はい。 僕からのプレゼント。

鈴ちゃんの未来が輝きますように……。

とびきりのLOVEが 溢れますように……。」

チャー君は 新しいミサンガを 鈴ちゃんの手首に結んだ。

“ ありがとう ” を繰り返す鈴ちゃんを見て、静かに微笑む チャー君に 少しづつ 癒された。

「 “ Noborder ” (ノーボーダー)って、この店の名前なんだけど 、“ 境界の無い ” って意味なんだ。

色んな意味で 境目みたいなものを取っ払いたいなぁ……と思って。」

ミサンガを見つめていた 鈴ちゃんが顔を上げる。

「 いつか…ゆっくりでいいから、あの世もこの世も…“ Noborder ” に思える日が来るといいな。
タクちゃんは、ずっと鈴ちゃんと一緒だよ。」

無国籍な 異国の民族衣装に身を包んで…ドレッドヘアーのチャー君が言うと なんだか自然にしっくりきた。

「 素敵な 名前だね。」

私は レジカウンターに貼られたステッカーを指でなぞる。

“ 境界の…無い ” “ 境目の…無い ”

「 シンが 付けてくれた名前でもあるんだ。」

「 えっ……? シンが……。」

「 うん。(笑) 俺たち…中学からのタメなんだけど…。あいつは 覚えていないかもしれないけど…、
シンが…俺に言ったんだ。

お前は “ Noborder ” だって。」

「 境界の………無い…… 」

「 俺って 見ての通り…肌の色 変じゃん。(笑)
じぃちゃんが、アメリカ系の黒人なんだ。

そして…母ちゃんはフィリピン人だし。

クォーターで、ハーフで…??

ん? ………よく わかんねぇな。(笑) 」

鈴ちゃんの表情が 少し緩んだように思う。

「 そんな俺が、はぶかれるのは ごく自然な感じで。(苦笑)
自分の肌や瞳…身体の造り、存在すら嫌で しゃーなくなってた時に…

あいつ………。

めっちゃ笑って。

ケラケラ笑って。

『 お前って、“ Noborder ” だなぁ。

かっけぇーーーー!! 』って……。」

「 …………らしい。(笑) 」
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