No border ~雨も月も…君との距離も~
「 それから、シンと俺は 仲良くなって……。

あいつの母ちゃんの話は しばらくして本人から聞いた。

カッコつけやがって………。(笑)

『 母さんとは 住む場所が 少し遠くなっただけで…… あの世もこの世も 境界なんて無い。
あるのは、少しの距離だけ。』

そう言って 笑ってた。」

本当は、寂しくて 寂しくて……あの日の月に怯えている14歳の頃の シンが 愛しくなる。

優しくて、誰の心にも寄り添いすぎてしまう シンも “ Noborder ” な人なのかもしれない。

鈴ちゃん。

私も 鈴ちゃんの “ Noborder ” でありたい。

どこにいたって、鈴ちゃんの親友でいたい。

いつでも、飛んでいくよ。

どこへだって。 少しの距離があるだけ…。

あの世とこの世に……

心のボーダーなんて無い。

そう思える 穏やかな日が いつか来ることを祈って……。

どうか、鈴ちゃんの未来が 輝きますように。

愛に溢れた 未来が待っていますように。

まだ 見えない未来に 願った。

鈴ちゃんのミサンガに 祈った。


真昼の白い月が、少し秋色に傾いた空の彼方から 私たちを見下ろしていた。

この空は どこへだって続いている。

境目なんて無い。

私は 鈴ちゃんの乗ったバスが見えなくなるまで、見送った。
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