No border ~雨も月も…君との距離も~
その夜の月は 、透き通る空気にくっきりと 自己主張の強い満月だった。

私は カーテンの隙間から 溢れる月明かりに、目を細めながら、シンのベッドで彼に抱かれた。

雲のかかることのない 月明かりの下で、シンは何かに取り憑かれたかのように 私を抱いた。

一晩中。

月が消えるまで……。

不安や迷いが 消えるまで……

波打つシーツの中、ただ…シンの腕に私は漂っていたかった。

肩の後ろ。 胸。 腰。 内腿。

シンは、しれっと私を見つめて…ケラッとイジワルそうに口角をあげて、私の躰に キスをする。

「 ちょっとぉ~~!そんなに、強くしたら… 」

「 大丈夫。(笑) 子供じゃないから…誰にも見えない所に つける。」

月が満月だと、知ってか…知らずか…

私は シンを私の奥の方で感じながら、ヤンチャな彼に手がつけられないでいた。

誰も手がつけられない……きっと。

「 今日は、月が怖くない。」

シンの笑顔は とても純粋で…それでいて何かに向かって噛みつきそうで…。

子供みたいで……男くさくて……

そんな彼を 誰よりも 愛して…受け止めたかった。
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