No border ~雨も月も…君との距離も~
「 やっぱ、我が家が落ち着くなっ(笑) 」
“ よぉ~こらしょ ” とスーツケースを玄関の段差に上げると翔平君は こっちを見て笑った。
鈴ちゃんと東京へ来た時以来の 翔平君の部屋。
私が入口に 立ったまんまでいることに気付いて、翔平君は 奥の部屋を指差した。
「 紅茶、入れるよ。 インドで買ってきた。」
「 えっ!(笑) インドにいたの?」
「 ナマステ~~(笑) 」
「 (笑)マぁジ。 でも…よかった♡
翔平君が 元気そうでっ。シンが連絡つかないって心配してたから。
翔平…翔平…って (笑) 相変わらず、シンは翔平君になついてる。(笑) 」
「 バカかぁ~~。 あいつ……。」
何か言葉を続けようとして翔平君はハッとして話をワザと変えたように感じた。
「 これ、ミッタルティのマサラってヤツ。
飲んでみて。」
そう言うと、スーツケースの奥から シンプルなパッケージだけれど、オリエンタルな感じのする紅茶の袋を取り出した。
翔平君は、ケトルに水を入れると スイッチを入れて振り返る。
「 ……で。シンが心配してたから、ここへ来たの? 」
「 あ……まぁ。 シンもそうだけど 私も心配だったよ。」
翔平君は、ashの再結成に向けて どう思っているのか……。
その話題に触れていいのか……悪いのか…。
何となく 直球で 聞きにくい。
「 翔平君、最近…旅行以外は どうなの? 」
「 …んーー、まぁ ぼちぼち CMの曲 書いたり。
あっ、これは 金沢のローカルCMだけど。
あとは…まだ 売れないアイドルの曲も書いたりとか……(笑) 」
「 翔平君って、やっぱスゴいね! ふて腐れてるシンとは 大違いっ!!(笑) 」
「 (笑) なんか…想像できるっ。ふててる感じ。」
翔平君は、クスッと呆れたように笑うけれど、すぐに フッと真顔に戻す。
「 でもさ……。思い知らされて…ash以外で 曲を作れば 作るほど、俺の作る曲って…本物なのかな…って。
なんか……特別に 心に深く残る訳でもない、ただ流れて…数日後には消えるんだ…って。」
「 ……翔平君。」
「だからってわけじゃないけど、何かを見つけたくて 海外にとりあえず 飛んでみた。
明後日また 次の国、行こうと思って。」
「 翔平君 らしいね。」
「 ねぇ……紗奈ちゃん。
何で、何で…皆 あいつ なのかな……。」
「 えっ……?何が? 」
ケトルのお湯が 沸いたことを知らせる 電子音。
「 歌えねぇのに…歌えもしねぇのに。
事務所もファンも…紗奈ちゃんも。」
翔平君は そう言って黙って お湯を注ぐ。
「 ……翔平君。 翔平君は…シンのことを… 」
「 やっぱり、皆 あいつなんだよ……。」
“ よぉ~こらしょ ” とスーツケースを玄関の段差に上げると翔平君は こっちを見て笑った。
鈴ちゃんと東京へ来た時以来の 翔平君の部屋。
私が入口に 立ったまんまでいることに気付いて、翔平君は 奥の部屋を指差した。
「 紅茶、入れるよ。 インドで買ってきた。」
「 えっ!(笑) インドにいたの?」
「 ナマステ~~(笑) 」
「 (笑)マぁジ。 でも…よかった♡
翔平君が 元気そうでっ。シンが連絡つかないって心配してたから。
翔平…翔平…って (笑) 相変わらず、シンは翔平君になついてる。(笑) 」
「 バカかぁ~~。 あいつ……。」
何か言葉を続けようとして翔平君はハッとして話をワザと変えたように感じた。
「 これ、ミッタルティのマサラってヤツ。
飲んでみて。」
そう言うと、スーツケースの奥から シンプルなパッケージだけれど、オリエンタルな感じのする紅茶の袋を取り出した。
翔平君は、ケトルに水を入れると スイッチを入れて振り返る。
「 ……で。シンが心配してたから、ここへ来たの? 」
「 あ……まぁ。 シンもそうだけど 私も心配だったよ。」
翔平君は、ashの再結成に向けて どう思っているのか……。
その話題に触れていいのか……悪いのか…。
何となく 直球で 聞きにくい。
「 翔平君、最近…旅行以外は どうなの? 」
「 …んーー、まぁ ぼちぼち CMの曲 書いたり。
あっ、これは 金沢のローカルCMだけど。
あとは…まだ 売れないアイドルの曲も書いたりとか……(笑) 」
「 翔平君って、やっぱスゴいね! ふて腐れてるシンとは 大違いっ!!(笑) 」
「 (笑) なんか…想像できるっ。ふててる感じ。」
翔平君は、クスッと呆れたように笑うけれど、すぐに フッと真顔に戻す。
「 でもさ……。思い知らされて…ash以外で 曲を作れば 作るほど、俺の作る曲って…本物なのかな…って。
なんか……特別に 心に深く残る訳でもない、ただ流れて…数日後には消えるんだ…って。」
「 ……翔平君。」
「だからってわけじゃないけど、何かを見つけたくて 海外にとりあえず 飛んでみた。
明後日また 次の国、行こうと思って。」
「 翔平君 らしいね。」
「 ねぇ……紗奈ちゃん。
何で、何で…皆 あいつ なのかな……。」
「 えっ……?何が? 」
ケトルのお湯が 沸いたことを知らせる 電子音。
「 歌えねぇのに…歌えもしねぇのに。
事務所もファンも…紗奈ちゃんも。」
翔平君は そう言って黙って お湯を注ぐ。
「 ……翔平君。 翔平君は…シンのことを… 」
「 やっぱり、皆 あいつなんだよ……。」