No border ~雨も月も…君との距離も~
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ー 午後 3時 ー

いつもにない時間に 電話してきたシンは、すごく怒っていた。

「 ……てか、待って。 まだ、私 バイト中だよ! 」

らしくなく……

感情的で 自分の言いたい事を ぶつけてくるシンの子供っぽい態度に 少し呆れながらも……内容は、私が悪いのだから……と 飲み込んだ。

「 なんで、俺に黙って 翔平の家に行ったりすんだよっ!! 」

「 言おうとしたし、言ったよ。

シンが……全く起きないから……。」

「 ん…なの、起きねぇーよっ。

一晩中、やってて起きるわけねぇ~じゃんっ!!」

「 …………。

てか、エラそうに言う内容? 意味、わかんないし……。」

「 翔平と何があった?」

逆ギレの私に シンは声のトーンを下げる。

本気で 怒っている気がして、私はお店の勝手口から外に出て 改めてシンの声に耳を傾けた。

「 翔平、お前に何した?」

「 ……何もないよ。」

私は、きっぱり吐き捨てる。

何も無いことに 私がすれば、何も無い。

事実。

彼は……“ 帰れっ ” って。

シンの所へ 帰れって…… そう 言った。

「 そんなっ……! 適当に言うなよ。

夏香から聞いた。」

「 適当なんかじゃないよ。 何も……無いよ。

シンが……怒るようなことは、してないよ。」

「 ……逆ギレかよっ。そんなんじゃなくてっ!!

もし……紗奈に何か あったら……俺。」


あ………………。


萎んでいくシンの声に、はっとして 胸が キュッと鳴る。

「 ごめん……なさい。 心配 かけて……。」

なんだか、すごく反省して 素直な気持ちが口から出た。

あの日……あの後、シャワーで体を流しながら震えた自分に……また 息が出来なくなる。



怖かった。

ごめんなさい………。


「 俺って………そんなに頼りないかな……。」


ちがう。


「 俺、気づいてやれなくて……。」


シンのせいじゃない。


軽率だったのは私。

信頼しているのと…部屋に二人きりになることは…違う。

「 シン……。」

「 俺、このままだと 翔平に何するか わからないし…!! ………許せない。」

「 違うっ!! シン、お願い信じて。

夏香さんの誤解だよ。 翔平君は……何もしてないよ。

シンと翔平君の仲は、今まで通り 何も変わらないはずだよっ……。

私を信じれないなら、翔平君を信じてっ。」
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