No border ~雨も月も…君との距離も~
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「 で。 バンド名……どうしようか?」

タケルは、下唇を左右に動かしながら 上目使いでメンバー 3人の表情を チラチラ伺う。

「 んーーー。 ashのまま 行きたい気持ちもあるけど……。

なーんか しっくり来なくて。

いい意味で……。

ミナトさんと ジェイは、俺の中で やっぱ新しいんだよね。」

「 確かに……。 ashの想いは 繋ぎたいけど、同じじゃない。」

シンは レディーマッシュのカウンターで、軽くリズムをとりながら メンバーの方を振り返る。

「 “ash ” ……灰色。 灰になるまで。

……“ 遺骨 ” って意味もあるのよ。知ってた?」

ジェイは 銀のシェイカーをカシャカシャと振ったかと思うと 軽く頭上へ投げると、その場でターン。

後ろ手に 見事にキャッチした。

「 おおおおーーーっ!! 」

3人はジェイの ボトルパフォーマンスに歓声を上げて手を叩く。

「 灰になるまでかぁ……。」

ミナトは苦い表情で皮肉な意味に、空気が抜けたように 椅子の背もたれに沈んだ。

「 タクの………。

タクの遺伝子を残せるような バンドにしたいんだ。

これからも 一緒だと……俺はそう思ってる。

ずっと一緒に。」

シンはジェイの しなやかな手つきから注がれるカクテルを じっと見つめる。

ブルーのグラデェーションに瞬きを忘れる。

「 タクちゃんの遺伝子をカクテルしたバンドねっ!」

「 DNAを……残したいよなぁー。」

タケルの呟きに、シンはまだ瞬きを忘れたまま…目の前のグラスを傾けて口を開く。

「 DNA……カクテル。」

「 DNAカクテル?」

「なんか、そのまんまだけど……。」

「 ……えっ? ん!! DNA……… 」

「 そっ。DNAカクテル!! 」

「 (笑) まんまだなぁーーー! DNAカクテル。」

ミナトは、クスッと笑いながら 満更でもない顔をする。

「 ストレートでいいんじゃない。悪くない!!」

「 覚えやすいし、伝わる。」

「 タクの……DNAは、俺らが必ず 次の章へ持っていくっ!!」

「 うん。ずっと同じ景色を見てるはずだよ………。」

シンは、そっと瞳を伏せて…タクの声に耳を澄ます。

聞こえるはずはないけれど、最近 こうやってみると 不思議と 頭の中が 整理される気がした。



“ いいんじゃないですかっ……。DNA•カクテル!
僕も 交ぜて下さいよっ! ”


タク………?!

タクの……声?!

思わず ハッとして 目を開けると、シンは 勢いよく振り返ったり……してみる。


「 俺も 交ぜてよ。

“ DNA•カクテル ”

それとも……もう メンバー募集、締め切っちゃったかな……? 」

「 ………翔平っ。」

シンは カウンター席から 立ち上がる。






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