No border ~雨も月も…君との距離も~
雑誌のインタビューや新曲が出る度に、TVのトーク番組やバラエティなどで よく聞かれる質問。

“ どんな 女性が好みですかぁ~? ”

こんなに……

こんなに 広い、深い……大海に こぼれた落とし物を、どう表現すれば いいのだろうか?



「 一生……手に入らない、女性でしょうか。」



無くした物を 数えたことは、まだない。

月の光をたよりに…舵の無い 小舟に乗って漂流する。

毎日、ひたすら この手で 漕ぎ続けた。

漕ぎ続けることに、必死な今がわりと好きだったりする。


レコーディングスタジオのガラス越しに ラムがシンに向かって 一生懸命…手を振る。

シンは アメリカ人のエンジニアからOKが出ると その隣の ミナトとガラスを隔てて、お互いに 親指を立てた。

ミナトが ニッと笑う横で ラムは 自分もっ…とばかりに 無邪気に 親指を2本とも立てた。

シンが苦笑しながらも、スタジオを出ると ラムはすぐにシンの腕に飛び付いた。

「シ――ン君、お疲れ様です♡ 」

「何?何? どうして ラムちゃんが ここにいるの?」

「私も 撮影……すぐそこだったんですぅー♡」

「ん……な、わけないじゃん。(笑) てか、毎回 撮影…すぐそこ…なんでしょ。」

「 バレましたぁ~! いいじゃないですかっ。
シン君に、会いたいだけです♡ 」

ラムは ほぼ…外国人のハーフ顔を すごーーく シンに近づけてくる。

「 差し入れ♡ 持って来ましたっ!」 耳元で囁く。

「 やーーーーった! 差し入れっ! 俺たち、飯まだだしっ!!」

ミナトが ラムの作った 手作りパンや 惣菜の数々に目を輝かせる。

「 ダーーーメ! シン君が先っ。」

「(笑) はぁ~い。はい。 いっただきっ!!」

ミナトの手をラムが はたいている隙に、翔平が卵焼きを口に 頬張る。

「 ちょっとぉ――!翔平君っ。o(`ω´*)o 」

「 (笑) ははっ…… 」

無邪気すぎる ラムにシンは苦笑しながらも 癒される。

「 あっ!また来てるっ……この子――!」

ジェイが 少し呆れぎみでラムの肩に手を置く。

「 好きなんです♡ 」

ラムは 、青い目をキラキラさせる。

「 あら?差し入れすることがですかぁ~?(笑) 」

「 違いますぅ~。 シン君のことがっ!!…です。」

「 わかってるわよ。 ……ったく♡ 」

ジェイは 苦笑しながらも、ラムとつつき合いながら
二人でキャーキャー 盛り上がる。

「 あっ!うまっ!!」

「 ホントに♡ホントっ?!♡ 」

「 めっちゃ…うまいっ!」

「 料理、得意なんです。(笑)
薬膳マイスターの資格も、今 勉強中 なんです。」


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