No border ~雨も月も…君との距離も~
シンは、サングラスを外して……キャプを小脇に挟んで しゃがむと 美音に両手を広げた。

「 ただいまっ!」

「 パパっーーーっ!!」

「 うわぁ。美音、また重くなった。(笑) 」

シンは 美音を抱きかかえると……

私の好きな顔をする。

口角をクッとあげて……ケラッと 笑う。

息子を見て 嬉しそうなシンを見る この瞬間が、私はたまらなく好き。

DーカクのSINではなくて、私だけのシンになる瞬間。

「 おかえり シン。」

私だけの シンになる その瞬間。

「 ただいま。(笑) 」

シンは こっちを向いて…軽く頷いて、私に左手を差し出す。

この手が…好き。

この温もりが……大好き。

自然に繋ぐ 手と手。



「 ねぇ、パパっ! 美音、スゴいよぉ~!」

「 何?(笑) なに?なにがスゴいの?(笑) 」

「 教えて欲しい?」

「 うん、何っ?!!」

シンは、美音の頬に耳を寄せる。

美音は……シンの耳に両手と唇を寄せて……

だだ漏れの コショコショ話……(笑)

「 あのね。 美音、お兄ちゃんになるんだよ。
もうすぐ、赤ちゃん 産まれるよ♡

パパには 内緒にしてたけどね~!! 」

「 (笑) マジで。へぇ~スゴいなぁ!美音!!」

「 いーっちばんの、お兄ちゃんになるんでしょ♡ 」

「 うん。(笑) 」

シンと 大きなお腹の私は 顔を見合わせて クスッと笑った。



そう……Dーカクの ラブソングは、こんな笑顔の時に、誰かの傍で 流れていて欲しい。

ありふれた……日常の 少しの笑顔の一瞬。

君が 笑うそんな日は…何でもない日が 特別になる。

きっと……みんな、

誰かの為に 生きて、誰かの為に笑っていたい。

けれど……

生きて、笑うことに疲れてしまう夜もある。

終わらない冬に……突然の通り雨に……不安で怖くなる時もある。

そう…孤独に 死にそうになる時も……

忘れないで……

雨も月も……そこにborderなんて無い。

空は、どこへだって続いている。

真っ白な ピュア過ぎる君に……君の隣にこのラブソングが流れていて欲しい。

見えない未来は No border だよ……そう信じたい。



私たちの胸には あの時のお揃いのチョーカーが光る。

今日は、特別……いつも以上に磨いてきた。

チョーカーを作ったチャー君を 喜ばせたくて。


「 紗奈ーーーーっ! シンっ!! こっち。こっち。」

「 あっ!(笑) 鈴ちゃんっ。 もう 着いてたんだ。」








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