No border ~雨も月も…君との距離も~
鈴ちゃんの 彼氏は、『ash』のベース担当の
拓也。 通称 タクちゃん。
最年少の18才。
二人は お似合いのカップルで、お互いの雰囲気も似ている。
革のジャケットは 二人で兼用だし、ミサンガは色違い。
飲んでるコーヒーの銘柄も、同じ。
靴の底を ポスッポスッと 引きずって歩く感じまで似ていたりする。
クリーン……か、グリーンか……どっちでもいいけど、爽やかすぎる二人から みると、私みたいな
脱線ぎみな恋は、御法度に違いない。
間違いなく鈴ちゃんは 、その苛立ちを シンに共有させている感じが 伺える……。
……でも、共有させる相手を 少し間違えたかも……。(涙)
私は シンのことを よく知らないし、BIG4の
バイトスタッフとして 会うと、少しは雑談したり
冗談を言って絡んだりはするけれど……彼も
どちらかというと……脱線組の匂いがする。
あくまで想像だけど……モテるであろう その空気感は、惹き付けられつつも つい、身構えてしまう……。
それくらい、シンは 色っぽい。
そんなシンに 不倫の善し悪しを 聞いたところで、
「いいんじゃね。」
なんて、チャラい答えが返ってきても 当然かと思われる。
「はぁーーーー。もう……今日は、帰るよ。」
やんわり立ち上がる 私に、シンは自分も腰を上げると前方を ふさいだ。
なんだか……気まずい私の前で、彼は イラ立つくらい背まで……高い。(悔)
「やっぱり、泣いてる?」
「泣いてない。……。」
「へぇ~~。ふ~ん。」
シンは、整った眉をクイッと 眉間によせると、私の顔を 覗き込む。
「なっ!……何っ!!」
思わず ……シンの惑わされるような瞳が近すぎて
首ごと 目を逸らす。
「僕じゃ、ダメですか?」
「……。?えっ……。?」
「そいつじゃなきゃ、ダメなの?」
今日……。やっと起きた……。てか……久し振りに目が覚めた気がした。
はぁーーーー?!! 隣で 鈴ちゃんが口をパカッと開けて コーヒーをこぼしそうに なっている。
……てか、少しこぼしてる。
「その人じゃないと、ダメですか?」
さっきの チャラい返答とは 裏腹に…まるで しつけの良い子供のような 彼の微笑みが、私の心臓を
2..3秒 止めたような 気がする。
シンは、クスッと笑うと ポケットから 煙草を 取り出して火を付けると、私に向かって 煙を 吐きかけた。
「うわっ!ぷっ……。ちょっとぉーーーー!」
「俺、 本気だよ。」
と、シンは 右斜め上から ‘’ドヤッ” とばかりに、私を見下ろした。
やっぱり……。私、茶化されてる。
私は シンから煙草を 取り上げると 鈴ちゃんの目の前に置かれてある、吸い殻で山盛りになっている
灰皿の隅で もみ消した。
「わぁっ!あーーー。 もったいなぁ!」
「ボーカリストのくせに……。禁煙するなら 乗りかえも 考えてみますけどっ。」
あっ……。しまった。(泣)
携帯会社の乗りかえみたいに……言っちゃったよ。(苦笑)
「はぁーーーー?!!」
鈴ちゃんの声の トーンが、さっきより 高い。
私の顔を 楽しそうに覗き込んだ シンは、
「(笑) 了解しました。」と、
口元に 可愛いエクボを 出現させて…また しつけの良い子供のように、ちょこんと頭を下げた。
バカにしてるでしょーーーー!(涙)
そもそも……寂しさから不倫に走っている 私に 気づいて、“いいんじゃね” なんて言ったくせに……
それに、何?思いつきみたいに ドキッとさせて
“本気だよ” って……!
あっ! 今……笑った。
ケラッ……と。 軽ーーーーく。
少し ためるようにして、口角をあげて笑う 彼のこの表情に 動揺しない 女がいるだろうか……。
自分に自信を 無くして、もう 傷つく恋はしたくないと思っていた私に、あの日……シンは
とても調子の良い言葉で……調子良く 私を巻き込んで 、本当の私に 手を差し出してくれた。
ケラッと……笑って
ー僕じゃ、ダメですか?ー
なんて、茶化して……
私を、真っ直ぐに 見ていた。
そう……今思えば、あの時 私はすでに……いとも
簡単に……。
恋に 落とされていたのかもしれない。
「えっ?えっ? ホントに?……今のって……?
シンが 禁煙したら、二人……付き合うってこと?
……そんな感じ?なの?」
鈴ちゃんは、大きな黒目を 更に大きくして、私とシンを交互に見る。
「そーゆーこと。」
ウソーーーー!何?勝手に決めてるし。
シンはドスッと 長椅子に腰を下ろすと、煙草の箱を 少し離れたごみ箱に ガスッと投げた。
“……だろっ!” なんていう 顔で、こっちに視線を向ける シンに 私の首は勝手に ……小さく 頷いていたりした。
そんな 瞳(め)で、こっちを見るのはマズイ。
そんな風に、ケラッと笑うのはヤバい。
拓也。 通称 タクちゃん。
最年少の18才。
二人は お似合いのカップルで、お互いの雰囲気も似ている。
革のジャケットは 二人で兼用だし、ミサンガは色違い。
飲んでるコーヒーの銘柄も、同じ。
靴の底を ポスッポスッと 引きずって歩く感じまで似ていたりする。
クリーン……か、グリーンか……どっちでもいいけど、爽やかすぎる二人から みると、私みたいな
脱線ぎみな恋は、御法度に違いない。
間違いなく鈴ちゃんは 、その苛立ちを シンに共有させている感じが 伺える……。
……でも、共有させる相手を 少し間違えたかも……。(涙)
私は シンのことを よく知らないし、BIG4の
バイトスタッフとして 会うと、少しは雑談したり
冗談を言って絡んだりはするけれど……彼も
どちらかというと……脱線組の匂いがする。
あくまで想像だけど……モテるであろう その空気感は、惹き付けられつつも つい、身構えてしまう……。
それくらい、シンは 色っぽい。
そんなシンに 不倫の善し悪しを 聞いたところで、
「いいんじゃね。」
なんて、チャラい答えが返ってきても 当然かと思われる。
「はぁーーーー。もう……今日は、帰るよ。」
やんわり立ち上がる 私に、シンは自分も腰を上げると前方を ふさいだ。
なんだか……気まずい私の前で、彼は イラ立つくらい背まで……高い。(悔)
「やっぱり、泣いてる?」
「泣いてない。……。」
「へぇ~~。ふ~ん。」
シンは、整った眉をクイッと 眉間によせると、私の顔を 覗き込む。
「なっ!……何っ!!」
思わず ……シンの惑わされるような瞳が近すぎて
首ごと 目を逸らす。
「僕じゃ、ダメですか?」
「……。?えっ……。?」
「そいつじゃなきゃ、ダメなの?」
今日……。やっと起きた……。てか……久し振りに目が覚めた気がした。
はぁーーーー?!! 隣で 鈴ちゃんが口をパカッと開けて コーヒーをこぼしそうに なっている。
……てか、少しこぼしてる。
「その人じゃないと、ダメですか?」
さっきの チャラい返答とは 裏腹に…まるで しつけの良い子供のような 彼の微笑みが、私の心臓を
2..3秒 止めたような 気がする。
シンは、クスッと笑うと ポケットから 煙草を 取り出して火を付けると、私に向かって 煙を 吐きかけた。
「うわっ!ぷっ……。ちょっとぉーーーー!」
「俺、 本気だよ。」
と、シンは 右斜め上から ‘’ドヤッ” とばかりに、私を見下ろした。
やっぱり……。私、茶化されてる。
私は シンから煙草を 取り上げると 鈴ちゃんの目の前に置かれてある、吸い殻で山盛りになっている
灰皿の隅で もみ消した。
「わぁっ!あーーー。 もったいなぁ!」
「ボーカリストのくせに……。禁煙するなら 乗りかえも 考えてみますけどっ。」
あっ……。しまった。(泣)
携帯会社の乗りかえみたいに……言っちゃったよ。(苦笑)
「はぁーーーー?!!」
鈴ちゃんの声の トーンが、さっきより 高い。
私の顔を 楽しそうに覗き込んだ シンは、
「(笑) 了解しました。」と、
口元に 可愛いエクボを 出現させて…また しつけの良い子供のように、ちょこんと頭を下げた。
バカにしてるでしょーーーー!(涙)
そもそも……寂しさから不倫に走っている 私に 気づいて、“いいんじゃね” なんて言ったくせに……
それに、何?思いつきみたいに ドキッとさせて
“本気だよ” って……!
あっ! 今……笑った。
ケラッ……と。 軽ーーーーく。
少し ためるようにして、口角をあげて笑う 彼のこの表情に 動揺しない 女がいるだろうか……。
自分に自信を 無くして、もう 傷つく恋はしたくないと思っていた私に、あの日……シンは
とても調子の良い言葉で……調子良く 私を巻き込んで 、本当の私に 手を差し出してくれた。
ケラッと……笑って
ー僕じゃ、ダメですか?ー
なんて、茶化して……
私を、真っ直ぐに 見ていた。
そう……今思えば、あの時 私はすでに……いとも
簡単に……。
恋に 落とされていたのかもしれない。
「えっ?えっ? ホントに?……今のって……?
シンが 禁煙したら、二人……付き合うってこと?
……そんな感じ?なの?」
鈴ちゃんは、大きな黒目を 更に大きくして、私とシンを交互に見る。
「そーゆーこと。」
ウソーーーー!何?勝手に決めてるし。
シンはドスッと 長椅子に腰を下ろすと、煙草の箱を 少し離れたごみ箱に ガスッと投げた。
“……だろっ!” なんていう 顔で、こっちに視線を向ける シンに 私の首は勝手に ……小さく 頷いていたりした。
そんな 瞳(め)で、こっちを見るのはマズイ。
そんな風に、ケラッと笑うのはヤバい。