No border ~雨も月も…君との距離も~
「 何だよ。コレ。駐車場も えらいことになってるし……。
風?かな。ゴミ捨て場のゴミが散乱してるんだ。」

私は一瞬…翔平君を見上げたけれど 目の奥が涙で熱くなっていることを 知られたくなくて すぐに視線を外した。

「 風…じゃないな。 どうした? 何かあった?」

そう言うと 翔平君は自分の靴底で、吸い殻を1ヶ所に 集めようとする。

「 ……あっ!翔平君、汚れるよ。」

「 貸して、それ。」

翔平君は、まだシンのインスタの事情を 知らないように見えた。

私の手から ホウキを取ると、雑な感じではあるけれど 灰を集めようとしてくれた。

こんな様子を見られたら、また 有ること無いこと、書かれてしまう。

「 翔平君、大丈夫。ありがとう!」

私は、翔平君から ホウキを奪うと、その場を離れることにした。

少し触れた 翔平君の手の温もりに、ドキッとした。

翔平君まで 悪く言われるのは、耐え難い。

私は 駐車場まで走って…しゃがみ込んだ。

ゴミが散乱する駐車場の 真ん中…。

はぁ…

はぁ…

今日は……空気が足りない。

空さえも…いつもより高く感じて、意地悪な雨を降らせそうな顔をしている。
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