No border ~雨も月も…君との距離も~
*・゚゚・*:.。..。.・゚・*:.。. .。.・゚゚・*
そして…勿論、夏香さんの逆鱗にも 触れた。
夕方の 地方情報番組を横目に、私と鈴ちゃんは マイクの消毒をしたり スタンドのネジを締め直す。
「 え~。…ということで 石川の桜、そろそろッスね、シン君っ。」
タケル君が、いつもながらテンション高めに イベント情報を紹介する。
「 そっスね。 明日からの 桜祭り、僕らのライブもあるんで 是非 お楽しみにっ!
では、今日はこの辺で……ashでしたぁー!!
バイッ♡ 」
金沢城前のロケ。
シンとタケル君が 手を振る 後ろで、女子中高生が キャーキャー 言っているのが見える。
思わず…TVの画面に目を奪われて、マイクを拭く手が止まる。
楽しそうな シンの笑顔を見ると、ホッとした。
何事も無いように 感じる。
その時…入口の扉が勢いよく開いて、今日は業界挨拶をはぶいて 夏香さんが現れた。
目を合わせないように避けた 夏香さんは、あからさまに 私の存在を無視して 通り過ぎた。
ヒールの音の速さと、床に響く力強さで 夏香さんの気持ちの乱れが 伝わる。
こちらに、顔も身体も向けないまま…事務所のドアノブに 手を掛けた夏香さんは、鈴ちゃんだけを 呼ぶと…その扉をバタンと閉めた。
こういうのを……無視っていう。
胸が、おかしなリズムを刻んでいるような気がする。
自分の周りを 取り巻く空気までもが、刺してくるようで……痛い。
私は、空気からも刺されるほどの罪を犯した覚えはない。
ただ…好きな人と、一緒にいたいと思う。
手を繋いだり……
キスしたり……
抱き合ったり……
それだけ。ただ…それだけ。
悪口を言われたり……
無視されたり……
シンとの恋に、罪なんか無いはず。
誰も傷つけない…はずだった。
私の手の中で、マイクのヘッドが輝きを増す。
それを胸に当てて 押し寄せる傷みを抑え込む。
今…シンの傍にいたい。
そして、「 大丈夫っ!」って ケラッと軽く笑って欲しい。
情報番組のMCが手を振って、いつものエンディングが流れた。
こんなに苦しい時でも、私の目は ロケ地とのカメラの切り替わりを期待して…シンを探してしまっている。
しばらくして 鈴ちゃんが 受け付けに戻ってきた。
事務所の扉を 開けっ放しにして、私に両手を広げて 走り寄る彼女は 興奮していた。
そして…勿論、夏香さんの逆鱗にも 触れた。
夕方の 地方情報番組を横目に、私と鈴ちゃんは マイクの消毒をしたり スタンドのネジを締め直す。
「 え~。…ということで 石川の桜、そろそろッスね、シン君っ。」
タケル君が、いつもながらテンション高めに イベント情報を紹介する。
「 そっスね。 明日からの 桜祭り、僕らのライブもあるんで 是非 お楽しみにっ!
では、今日はこの辺で……ashでしたぁー!!
バイッ♡ 」
金沢城前のロケ。
シンとタケル君が 手を振る 後ろで、女子中高生が キャーキャー 言っているのが見える。
思わず…TVの画面に目を奪われて、マイクを拭く手が止まる。
楽しそうな シンの笑顔を見ると、ホッとした。
何事も無いように 感じる。
その時…入口の扉が勢いよく開いて、今日は業界挨拶をはぶいて 夏香さんが現れた。
目を合わせないように避けた 夏香さんは、あからさまに 私の存在を無視して 通り過ぎた。
ヒールの音の速さと、床に響く力強さで 夏香さんの気持ちの乱れが 伝わる。
こちらに、顔も身体も向けないまま…事務所のドアノブに 手を掛けた夏香さんは、鈴ちゃんだけを 呼ぶと…その扉をバタンと閉めた。
こういうのを……無視っていう。
胸が、おかしなリズムを刻んでいるような気がする。
自分の周りを 取り巻く空気までもが、刺してくるようで……痛い。
私は、空気からも刺されるほどの罪を犯した覚えはない。
ただ…好きな人と、一緒にいたいと思う。
手を繋いだり……
キスしたり……
抱き合ったり……
それだけ。ただ…それだけ。
悪口を言われたり……
無視されたり……
シンとの恋に、罪なんか無いはず。
誰も傷つけない…はずだった。
私の手の中で、マイクのヘッドが輝きを増す。
それを胸に当てて 押し寄せる傷みを抑え込む。
今…シンの傍にいたい。
そして、「 大丈夫っ!」って ケラッと軽く笑って欲しい。
情報番組のMCが手を振って、いつものエンディングが流れた。
こんなに苦しい時でも、私の目は ロケ地とのカメラの切り替わりを期待して…シンを探してしまっている。
しばらくして 鈴ちゃんが 受け付けに戻ってきた。
事務所の扉を 開けっ放しにして、私に両手を広げて 走り寄る彼女は 興奮していた。