No border ~雨も月も…君との距離も~
それなのに……

その瞬間、何の迷いもなく

「 どこへでも……一緒に 逃げるよ。」

と、笑いかける 自分に驚いた。

後先を 考えない 私がそこにはいて、

そう。

そういう所……私とシンは 似ているのかもしれない。

「 逃げよう……シン。」

「 ホントに……(笑) 」

「 うん(笑) シンとなら……どこへでも行ける。」

シンは、立ち上がると 私を胸に引き寄せる。

ありがとう……

また、私の肩で シンの声が籠る。

まるで、大切なものをそっと 包み込むように……
大事なものを 強く……放してしまわないように。

ぎゅっとする。

「 明日だけでいいから……
ashのSIN…辞めていいかな。
幸崎 真のままで、いいかな。」

私は、首をもたれたまま 目を閉じて 頷く。

「 うん。……大丈夫。
私だけの シンでいて……。」

シンのTシャツで……私の声が 籠る。
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