No border ~雨も月も…君との距離も~
「 曲だって、歌詞だって……シレッとしながら数分で スゲーの作るんだ。
天才やなぁーーって思ってたら、人一倍 努力家だったりもする。
それでいて、周りにも気を配れて……アーティストぶったりもしない。
硬派で……男くさいっていうか……。」

「 男が惚れる男……♡ってやつ。(笑) 」

「 あ~。ソレソレ。(笑)
俺の持っていないものを全部……アイツは持ってんだぁ。
とにかく、スゲーやつ!!
だから……ashは成り立ってる気がする。」

翔平君のことを 褒めるシンの顔が 誇らしげで、まるで自分のことのように 得意気に話す彼の姿にメンバー愛を感じる。

そして、素直に 他人の良いところを褒めれる そんなシンのことが、私は好き♡

「 褒め殺しだね!(笑) シンは、翔平君が好きなんだねっ。」

「 ………………(苦笑)
気持ち悪りぃこと言うなよぉ~。」

「 うん。きっとそう……。(笑)
私より…翔平君が好きなんでしょっ!」

私の冗談に ハンドルを持ったままのシンは、こっちを 覗き込んで キスしようと ふざける。

「 ちょーとっ! 危ないからっ(笑) 前見てっ!!」

「 (笑)(笑) 」

目の前には、お日様に照らされた能登の海。

この青く透明な地平線の向こうまで 逃げれるような気がしてくるほど、心が踊った。

2人で 逃げた。

シンは、本当なら……レコーディングが入っている。

私も、バイトは風邪を引いたことにした。

2人とも……ワガママだと分かっていたし、大人のすることではないいことぐらい……十分 理解していた。

でも……今日、今……

逃げたかった。

シンと 2人きり……今日は、何もかも捨てたかった。

シンの他に……何もいらない。 そう思った。

荷物は……シンがいれば 何もいらない……

そう思った。
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