No border ~雨も月も…君との距離も~
「 シンなんてっ……キライっ!
顔も 見たくないしっ。 大っキライっ!!」

「 ……わかった。 わかったよ。
声、デカイって…(焦) 駐車場、響くからさっ。」

「 バカっ。 おたんこナスっ! どてカボチャっ!
おかちめんこーーーっ!! 」

はぁ……大きな肩からの息と一緒に 夏香の目に薄らと、涙が膨らむ。

「 …………て、いうか。食べ物シリーズの悪口かと思ったら、オカチメンコって……何?(苦笑) 」

「 知らないわよっ!そんなのっ!! 」

「 (苦笑) …………マ…ジか。」

シンは 小さく笑うと、もう一度…ごめんと頭を下げた。

「 大キライ……。いつに なったら、こっちを見てくれるの?
ちゃんと……見てくれるの?」

いつに なったら……気づいてくれるの?

「 大キライじゃねぇーのかよ……。」

「 なんで?……なんで 紗奈ちゃんなの?
シンを 守れるのは 私だけだよっ。」

はぁ……今度はシンが 大きく息を吐いて 夏香の声の響きに 周りを見回す。

「 夏香さぁ…。すごく感謝してる。
それに、お前 以外に マネージャーを頼める人はいないよ。
頼りにさせてもらってるし…俺の中では特別だって思ってる。」

「 そんなの……マネージャーとしての特別なんて…。
私は、シンのホントの 特別になりたくて……こうしているのかもって……たまに 自分の気持ちも分からなくなるよ。」

「 夏香……お前が 一番よく分かってたじゃん。
俺といても、何が特別で何がホントか 分からないって……何を信じていいのか 分からないって。」

「 東京から 帰ったら……少しはその本当が何なのか 分かると思ったけど、やっぱり……シンはシンだった。シンにとって…特別な人って誰なの?」

「 …………。」

「 でもね。1つだけ、分かるの。
紗奈ちゃんといたら いつかシンが壊される……。
私、怖いの。
シンをダメにしたくない…。」

「 何が……?なんで、紗奈が俺を壊すんだよ。
意味 わかんねぇーし。」


ホントって……何?

シンの特別って……どんなの?

未だに思うのに……あの子は 自然とそれを受け入れてるような気がする。

手がつけられない シンを、あの子はひとつもそう思っていない。

私と付き合ってた頃と 全然違う、シンを 見ると

イライラする。

まさか、本気で好きなの……って思ってしまうから……

イラつく。




「 ……あっ……。」 私は、一瞬…躊躇する。

駐車場につながる階段を下りかけて ふと顔を上げると シンの腕に絡まる夏香さんの姿が 目に飛び込んできた。

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