No border ~雨も月も…君との距離も~
“オーガニック.GARDEN ” と翔平君の仕事の現場の中ほどに 河川敷の公園があった。

しばらくは、この現場で仕事をするらしい。

休憩のついでに、公園まで翔平君のお弁当を届ける。

「 お待たせ。生姜焼き弁当(大)。
ママが カラアゲおまけ…だって。ひとつじゃなくて…2個、おまけっ。(笑) 」

私は いつもの レジ袋を翔平君に手渡した。

「 マジで~↑↑ありがとうっ!上がるぅ~ 」

私たちは、噴水広場の池の縁に 並んで腰掛ける。

「 翔平君、ずいぶん日焼けしたね(笑) 」

「俺、ガテン系ギターリストだしっ(笑) ホラ…すぐそこ現場。」

翔平君は、目の前の古いビルを 顎を使って指し示す。

「 (笑) ガテン系かぁ。ホントだね。
翔平君も、シンも……働き者だよね。
朝から晩まで、夢の為といえど…エライよ。」

「まぁ……。バンドなんてやってたら ライブとかツアーとかで定職にはつけないから……。
早く、音楽だけで 食っていきたいけど、そんなに甘くないかなって。」

「 ashの夢……叶うといいね。
皆の、夢だもん。」

「 毎日好きなだけ、音楽のことだけ考えて…。
俺のギターと、シンの声と……ashっていう最高の仲間と……!!
スポットライト 浴びて 、お客さんが皆 笑ってて…
波みたいに 音が全部を飲み込んで行く。
最高だと思う……。」

「 うん。私も!!楽しみっ。ashならきっと叶えられるっ。」

「 いったいどんな場所に 辿り着くのかワクワクするんだっ!」

「 あ~ぁ。4人とも、手が届かなくなるくらい カッコ良く なっちゃうんだろうなぁ……。」

私の背中で 規則正しく 噴水が 伸びたり縮んだりするを 繰り返す。

「 ……って、実はプレッシャーだらけだったりするけどね。」

「 えっ?!そうなの?翔平君が?」

「 (笑)そうだよ。 実は、プレッシャーなんて……カッコいいもんじゃなくて……本当はいつも 不安で 自信なくて……押し潰されそうになる。」

「 ……意外。 翔平君って いつでも、何でも、余裕でこなしているように 見えるから。」

「 そんなわけないよ。 だから…………
“ ヤバいっ。潰れるっ ”って思ったら、ここに来てる。」

「 (笑) 」

「 紗奈ちゃんに…………会いに来る。」

「 えっ!…………。」

「 俺、紗奈ちゃんのことが 好きだよ。」
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