雪原の蛍


「…うん、そう。これから降りるから、一番大きな窓のとこにいて。手を振るから見てろよ。」

『命令口調は相変わらず、ですか…』

つい昔を思い出し、小さくため息をついた。
その一瞬、目頭が熱を持ったことに自身で驚いてしまう。

『うそ…。勘弁してよ』

瞬きを繰り返して何とかやり過ごすと、そっと深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けようとする。そこに

「ミイナ、OKだ」

電話を終えたハルキが声をかけた。

「…分かったっ」

やばっ、声、震えた!

「?ミイナ?」

「…ッゴホ、ゴホ。」

咄嗟にせき込んでみせる。

「大丈夫か?」

「ん、ンん。大丈夫。ちょっと何か気管に入っただけ。」

うまくごまかせた…かな?

何とか立て直しホッとした時、ミイナの背中を大きな手が優しくなでた。


「!」


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