正義の味方に愛された魔女 ５

お風呂で恋愛相談

百合さんのおうちが「魔女の館」なら、パパとママと沙羅のおうちは...悪魔と天使と魔女っ子が暮らす「魔王城」。

字面からすると、おどろおどろしいカオスな中身を想像してしまうかもしれないけど、
うちの悪魔は「ママと娘をとても大切に思ってくれる優しい悪魔」だし、
天使は「旦那さまと娘の異能っぷりをモノともせず、いくつになっても純粋な天使」です。

ほんわかした家庭で育つ娘はさぞかしおっとり...かと思いきや、大人みたいな思考と言動の幼稚園児でホントにごめんなさいな魔女っ子です。

いつものように、パパとお風呂タイムを満喫中。
親子のコミュニケーション＋力の使い方講座の時間です。

湯船に浸かりながら、パパの真似をして、お手てで作る「お湯でっぽう」に挑戦しながらお話中です。

「…………それでね、翔ちゃんがね、今はまだいいけど、あと何年かしたら、パパとお風呂は、やめた方がいいよって言うの。
どうして？って聞いたらね、お風呂屋さんでも女の子は女湯、男の子は男湯って分かれて入るしトイレも、プールの着替えも、男と女で別々だからって。
家族だからいいでしょ？って言ったら、変な顔して言いにくそうだったから…視せてもらったのね、
そしたらビックリなのよ！もー！
『うちのパパは変態さんじゃないから平気よ！！』って怒ったら翔ちゃん黙っちゃった…。
《隼人さんが変態だなんて言ってないのに……怒るなよぉ。
普通は家族でも大きくなったら男と女はだんだん別々になるだろ……沙羅んちは普通じゃない事が多すぎるんだよなぁまったく》って。
沙羅、翔ちゃんに謝った方が良かったね。なんか謝りそびれちゃった。」

《んー...お手てが小さいからかなぁ…パパみたいに上手にピュッピュッて飛ばせない……》

《手のひらの、ほら、ココんところに少し隙間を開けておいて……ピュッと、そうそうそんな感じ》

「はは…パパは変態かもしれないから要注意だな。ま、いいや。
普通の家族、っていうのを『うち以外の多くの家族』って言うなら、翔也くんが思ってた様にうちは普通じゃないかもしれないね。
でもいいじゃないか、それで。
沙羅は自分がどこからどうやって生まれてきたのか知ってる。
大人になって人を好きになって…愛情たっぷりの二人が、ただ何もしないで神様にお願いだけして授かった訳じゃない。
でもその事は世間ではね、体や心が成長するまではっきり教えて貰えないものなんだよ。
視えないから分からない。
なんだかいやらしい感じの秘密の行為として扱われることが多いんだよ。
ウチみたいにオープンじゃないんだ。
家庭内性教育って他のご家庭ではあまりされてないと思うよ。」