正義の味方に愛された魔女 5

ひな祭りのお誕生日会

そんなわけで
相談してみてやっぱり沙羅はこの学園で進学することにしたのです




そして今日は3月3日
沙羅の6歳のお誕生日です

うちの家族の誕生日、ちょっと面白いんですよ
パパが5月5日、こどもの日
ママが7月7日、七夕さまの日
そして沙羅はひな祭り
三人とも同じ数字がならぶ日なんです


今日はうち、魔王城に、百合さんと龍ジジ、芽衣ちゃんと祐介くん、翔ちゃんとなぜか加奈さんをお招きして
ささやかなお誕生会をしてもらうことになりました

沙羅は幸せな子供なんです
周りの人みんなにありがとうって思ってます
あと、魔女の館に行ったら時々お仏壇のひいおばあちゃんにもありがとうって言います

でもね
いつもは本当に幸せなんだけど、たまに思うのです
百合さんもパパも同じ気持ちになったことがあるって聞いて
少し安心したけど
たまに、この「視える力」が無かったら、もっと、お友達たくさんいたかしら···
もっと、みんなみたいに子供らしくて素直だったかしら···って

沙羅って本当に今日で6歳なのよね
なんだか時々、10歳か20歳くらい上な気がしちゃうんです
ママみたいな素直な可愛さが無いんです沙羅には


『あら~?沙羅ちゃん、そんなこと思ってると早く老け込んじゃうよぉ~?
今日はお招きいただき、ありがとう』
頭ポンポンですべてお見通しなこのお方は親愛なる···

「あ、百合さんいらっしゃ~い!」


「仕方ないじゃな~い、持って生まれてきちゃったんだもの
自分と人の幸せのために使うなら、いつ何にどれだけ使ってもいいんだからね
正しく優しく有効活用しましょ?」

やっぱり百合さんすごーい


⋆ ☄︎. ·˚ *𖤐⡱⋆ ☄︎. ·˚ *𖤐⡱⋆ ☄︎. ·˚ *𖤐⡱⋆ ☄︎. ·˚ *𖤐⡱



みんなが揃ったので
お雛様の前でお食事会が始まりました

私の向かいに意味ありげな笑顔の加奈さんが…そのお隣に翔ちゃんが……

何かが起こる予感がします
嫌な予感です
モヤモヤするもん


心の中で自分に言います


《沙羅は競争しない、沙羅は競争しない
みんなお祝いに来てくれたの
ありがとうなの
ニコニコなの》


加奈さんが翔ちゃんと一緒にプレゼントをくれました
『白石くんに聞いたら、沙羅ちゃん、くまのパゥさんが好きだって言うから
二人でお買い物に行って、二人で選んで、二人で半分ずつお金出しあって用意したの』

『沙羅の体くらいあるから持ってくるの目立って恥ずかしかったよ
お誕生日おめでとう沙羅』
翔ちゃんがパゥさん抱っこして来たのね…なんだか、うふふですね

『翔ちゃん加奈さんありがとう。大切にするね』

《二人でデート楽しかった~この子のプレゼント選びじゃなきゃもっと楽しかったかも…》
って視えたのは気にしない気にしない(^_^;)

芽衣ちゃんには、初等科に入学してから使おうねって、お揃いのペンケース
祐介くんにはキャラクターのプリンセスが身につけているみたいな(おもちゃだけど綺麗な)アクセサリーを
いただいちゃいました
みんなみんな、ありがとうございます
プレゼントなんてなくても沙羅はおめでとうの気持ちが嬉しいのです


おめでとうって言われてお手て触ると
みんなふんわり優しい気持ちで言ってくれてるのが伝わってきて
とても嬉しいのでした



…………そう、ひとりをのぞいて。









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