正義の味方に愛された魔女 5

解決後~魔女の館で

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ここは魔女の館。百合さんと龍ジジのおうちです。

一階の百合さんのお店で、今もママが店員として働いています。
ママは、ネットショップのほうの
voice of heart.net『ヴォイス・オヴ・ハート・ドットネット』の店長さんをしています。

百合さんは「私が引退したらお店は沙耶ちゃんにあげるの♪」って言ってますが
沙羅の予想では百合さんは、生きている間ずっとショップオーナー兼デザイナーを続けて行く様な気がします。

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みんなでご飯を食べたり三人でお泊まりする時は、沙羅だけ百合さんと龍ジジのお部屋のおっきいベッドで川の字です。

うちでは、パパからいつも力の使い方や人の心の難しいあれこれについて教えてもらっているけど、
ここでは初代魔女に直伝を授かるチャンスです。

幼稚園側からは、今回の誘拐事件について簡単にしかお話が無かったけれど、
龍ジジに、一応関係者ということで少し説明してもらいました。

「書類上の結果しか知らないから詳しいことは言えないが、今回の誘拐容疑の処分とは別に、今後ハロウィンばばぁには祐介くん一家への接近禁止命令が出たぞ。
とりあえず一時的には解決した形だな。
祐介くんを生んだ母親は出産後間もなく亡くなってて、今の祐介くんママってのは一年後に再婚した、いわゆる継母なんだが…
まぁ一歳から育ててもらってれば、気持ちは産みの親と変わらんよなぁ。
ハロウィンばばぁは産みの親の妹で、どうやら姉の生前から祐介くんの父親に横恋慕していたらしい。
あ?あぁヨコレンボっていうのはな…その…あれだ」

《百合~頼む!》

「はいよー。
あのね、沙羅ちゃん、沙羅ちゃんの好きな幼馴染みの…」

《わー、龍ジジにはまだ内緒~》《あ、ごめん了解~》

「…じゃなくてやっぱり私の話にしようか、百合さんと龍ジジはラブラブだよね。そこに、
『荒川さーん大好きです。そんな年上のおばあちゃんなんかと早く別れて私と再婚してー』
って割り込んでくる恋心のことを横恋慕っていうのよね」

百合さんと沙羅だけの心のやり取りは、言葉で話す時間の百分の一くらいの速さで済んでます。
パパとも心でお話が通じるけど、百合さんには、沙羅が思ってる途中でも答えが返ってくるのです。

「そうそれだ。ハロウィンばばぁは姉さんの生前から祐介くんの父親に、なにかとちょっかい出してきてたらしいぞ。
前からストーカーっぽかったわけだ」

「龍ジジ、お口が悪いなぁ。
ハロウィンばばぁじゃなくてハロウィンおばさんね…って対して違わないかもね。
その、ハロウィンおば様が命令を聞かないで、また会いに来たら逮捕?」

「それなりの処分、だろうな」

さっき、はぐらかした幼馴染のこと、龍ジジは聞こえないふりをしてくれました。
こういう優しさが龍ジジの「器の大きさ」です。

「龍ジジ、ありがとう。大好き」

「んー?この事件は担当外だから俺が解決したわけじゃないぞ。
その大好きっていうの、死ぬまで続けてくれると幸せだろうなぁ」

「大丈夫。お年寄りになってお耳が遠くなっても、心に向かって届けるからね」

魔女の館とは言っても、ここは「正義の味方に愛され続ける良き魔女の館」なのです。


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