エリート御曹司は獣でした
彼が連れていってくれたのは、かねてより私が行ってみたいと憧れていた有名店で、特Aランクの和牛しか扱っていない高級店であった。
カウンター席に座ると、目の前の鉄板でステーキを焼いてくれるのもポイントが高い。
ジュージューと美味しそうに焼ける音と、香ばしく肉々しい香り。
私の五感の全てがステーキ肉に釘付けにされ、うっかり久瀬さんの存在を忘れそうになっていた。
『相田さん……俺の話、聞いてる?』
『はい、聞いてます。肉の焼ける音を!』
ステーキに夢中になりすぎて、店内にいる間はほとんど、久瀬さんと会話がなかった。
それを後悔したのは、満腹になってから。
最近は急激に久瀬さんに惹かれているのを自覚しているというのに、私はなにをやっているのだと、自分に呆れたのであった。
彼は、『相田さんが楽しんでくれたなら、俺も満足だよ』と笑って許してくれたが、私はあの日の失敗をまだ引きずっている。
それで今日こそは、このイベントで、久瀬さんとたくさん会話しようと意気込んでいるのだ。
デートではなく、仕事なのだけど……。
カウンター席に座ると、目の前の鉄板でステーキを焼いてくれるのもポイントが高い。
ジュージューと美味しそうに焼ける音と、香ばしく肉々しい香り。
私の五感の全てがステーキ肉に釘付けにされ、うっかり久瀬さんの存在を忘れそうになっていた。
『相田さん……俺の話、聞いてる?』
『はい、聞いてます。肉の焼ける音を!』
ステーキに夢中になりすぎて、店内にいる間はほとんど、久瀬さんと会話がなかった。
それを後悔したのは、満腹になってから。
最近は急激に久瀬さんに惹かれているのを自覚しているというのに、私はなにをやっているのだと、自分に呆れたのであった。
彼は、『相田さんが楽しんでくれたなら、俺も満足だよ』と笑って許してくれたが、私はあの日の失敗をまだ引きずっている。
それで今日こそは、このイベントで、久瀬さんとたくさん会話しようと意気込んでいるのだ。
デートではなく、仕事なのだけど……。