エリート御曹司は獣でした
それを聞いた私と久瀬さんは、焦りを隠せず顔に表してしまった。
首を傾げた彼女の後ろのブース内には、別の若い女性社員がいて、私たちの様子を見ていたのか、慌てて駆け寄ってくる。
「お客様、もしかしてポン酢が苦手でいらっしゃいましたか?」
そう言って私たちを心配してから、「あかり、ポン酢をかけてあることを先に説明してって言ったでしょ!」と、試食品を渡した女性を叱っていた。
まったくもって、その通り。
こちらとしては、コロッケにポン酢がかかっているとは思わないのだから、口にする前に言ってくれないと避けられない。
ここまで一時間ほど会場内を回っていた間、新商品のポン酢をかけた冷しゃぶを勧めてくるブースもあった。
私が久瀬さんの分まで食べることで、変身を回避してきたというのに、まさか冷凍コロッケのブースに伏兵がいたなんて……。
あかりと呼ばれた女性社員に、ひと言、文句を言いたいところだが、そんな余裕はないようだ。
久瀬さんは額に脂汗をにじませ、「うっ」と小さく呻き、苦しみだしている。
首を傾げた彼女の後ろのブース内には、別の若い女性社員がいて、私たちの様子を見ていたのか、慌てて駆け寄ってくる。
「お客様、もしかしてポン酢が苦手でいらっしゃいましたか?」
そう言って私たちを心配してから、「あかり、ポン酢をかけてあることを先に説明してって言ったでしょ!」と、試食品を渡した女性を叱っていた。
まったくもって、その通り。
こちらとしては、コロッケにポン酢がかかっているとは思わないのだから、口にする前に言ってくれないと避けられない。
ここまで一時間ほど会場内を回っていた間、新商品のポン酢をかけた冷しゃぶを勧めてくるブースもあった。
私が久瀬さんの分まで食べることで、変身を回避してきたというのに、まさか冷凍コロッケのブースに伏兵がいたなんて……。
あかりと呼ばれた女性社員に、ひと言、文句を言いたいところだが、そんな余裕はないようだ。
久瀬さんは額に脂汗をにじませ、「うっ」と小さく呻き、苦しみだしている。