エリート御曹司は獣でした
彼の変身を見るのは、これが五度目だ。
最初は、ふた月ほど前の会議室で、次は久瀬さんの自宅を初めて訪れ、私なりの治療を施した時。
望月フーズの社員を接待中に狼化してしまったのが三度目で、後のふたつは、二回目三回目の治療だ。
それらも、彼の自宅でのことである。
今の私は、突然の変身に慌てこそすれ、驚いたり動揺したりすることはないが、抱きしめられるとどうしたって鼓動は速まる。
久瀬さんと濃密に関わるようになってから、私の心はただの憧れから恋へと、境界線を跨いでしまっているのだから……。
彼の左手は、逃がさないと言うかのように私の体に回されて、右手はジャケットのボタンを外し、ブラウスの裾をスカートから引っ張り出している。
ブラウスをまくるように下から手を入れ、「滑らかな肌だ」と熱っぽく呟いて、私の腹部を直に撫でていた。
好きな人に触れられたら、喜びたくなってしまうが、その気持ちを押し込めて、彼の右手を掴んで動きを止めた。
毎回、変身の後には、襲ってしまったことをすまなそうに詫びる彼。
久瀬さんの本来の意識は、こんなことを望んでいないと知っているので、流されるわけにはいかない。
ポン酢に悩まされている久瀬さんを、私が救うんだ……その使命感を忘れるまいと気を引き締めた私は、耳を甘噛みしてくる彼に、戦略的に話しかけた。
「久瀬さん、今日のイベントで、前向きな反応を得られた五社についてですが、その内の新規を、私に担当させてもらえないでしょうか?」
最初は、ふた月ほど前の会議室で、次は久瀬さんの自宅を初めて訪れ、私なりの治療を施した時。
望月フーズの社員を接待中に狼化してしまったのが三度目で、後のふたつは、二回目三回目の治療だ。
それらも、彼の自宅でのことである。
今の私は、突然の変身に慌てこそすれ、驚いたり動揺したりすることはないが、抱きしめられるとどうしたって鼓動は速まる。
久瀬さんと濃密に関わるようになってから、私の心はただの憧れから恋へと、境界線を跨いでしまっているのだから……。
彼の左手は、逃がさないと言うかのように私の体に回されて、右手はジャケットのボタンを外し、ブラウスの裾をスカートから引っ張り出している。
ブラウスをまくるように下から手を入れ、「滑らかな肌だ」と熱っぽく呟いて、私の腹部を直に撫でていた。
好きな人に触れられたら、喜びたくなってしまうが、その気持ちを押し込めて、彼の右手を掴んで動きを止めた。
毎回、変身の後には、襲ってしまったことをすまなそうに詫びる彼。
久瀬さんの本来の意識は、こんなことを望んでいないと知っているので、流されるわけにはいかない。
ポン酢に悩まされている久瀬さんを、私が救うんだ……その使命感を忘れるまいと気を引き締めた私は、耳を甘噛みしてくる彼に、戦略的に話しかけた。
「久瀬さん、今日のイベントで、前向きな反応を得られた五社についてですが、その内の新規を、私に担当させてもらえないでしょうか?」