エリート御曹司は獣でした
そんな彼女の真横にしゃがみ込んだ私が、「おはよう」と声をかければ、特段驚きはせずに、「あ、奈々さん。おはようございます!」と元気な挨拶を返された。
「しー!」と人差し指を立てた私は、三メートルほど先にいる、久瀬さんを囲う集団を気にする。
よかった……。
どよめきが起きるほどに盛り上がっているから、誰も私の出勤に気づいていない。
まずは状況を把握しなければと、人だかりの理由を八重子ちゃんに問いかける。
すると、ニッコリ天然スマイルを浮かべた彼女が、普通の口調で教えてくれた。
「もちろん、久瀬さんと奈々さんのことですよ。私、昨日の仕事が終わらなくて早めに出勤したんですけど、久瀬さんは着くなり、質問責めにあってます。いつから付き合っているとか、どっちからの告白かとか」
嫌な予感は当たっていたようで、眉を寄せて「やっぱり……」と呟いた私だが、なぜ噂が広まってしまったのかはわからず困惑した。
それを「どうして?」と八重子ちゃんに尋ねれば、「私がみんなに話したからです」と一切悪びれずにサラリと言われて、目が点になる。
「しー!」と人差し指を立てた私は、三メートルほど先にいる、久瀬さんを囲う集団を気にする。
よかった……。
どよめきが起きるほどに盛り上がっているから、誰も私の出勤に気づいていない。
まずは状況を把握しなければと、人だかりの理由を八重子ちゃんに問いかける。
すると、ニッコリ天然スマイルを浮かべた彼女が、普通の口調で教えてくれた。
「もちろん、久瀬さんと奈々さんのことですよ。私、昨日の仕事が終わらなくて早めに出勤したんですけど、久瀬さんは着くなり、質問責めにあってます。いつから付き合っているとか、どっちからの告白かとか」
嫌な予感は当たっていたようで、眉を寄せて「やっぱり……」と呟いた私だが、なぜ噂が広まってしまったのかはわからず困惑した。
それを「どうして?」と八重子ちゃんに尋ねれば、「私がみんなに話したからです」と一切悪びれずにサラリと言われて、目が点になる。