エリート御曹司は獣でした
「いい女がいるな」
そう言った彼はニヤリとして立ち上がり、ソファの私の隣に腰を下ろす。
私の手には、金属製のトレーがある。
変身前の彼に防具として渡されたそれは、狼化した彼に奪われて、ラグの上に放り投げられた。
私の中の緊張が増したが、焦ることはない。
元からトレーで殴って逃げるつもりはないからだ。
それから肩に腕を回されそうになり、それに対しては立ち上がって拒否を示す。
捕まれば力の差で負けてしまうので、一定の距離は置かないと。
そう思い、半歩下がって挑戦的な視線をぶつけたら、彼はクククと悪党のような笑い方をした。
「なぜ逃げる。抱かれるために、俺の家に来たんだろ?」
「全然、違います」
「フン。焦らすタイプの女か。そんな面倒なことをしなくても愛してやるよ。まずは邪魔なコートを脱げ」
低く甘い声の命令と、攻撃的なまでに色香を溢れさせる瞳。
心臓を跳ねらせた私は、うっかり変身後の久瀬さんも素敵だと思ってしまう。
思わず流されてみたくなったが……その気持ちをすぐに立て直し、負けまいと彼を睨んだ。
そう言った彼はニヤリとして立ち上がり、ソファの私の隣に腰を下ろす。
私の手には、金属製のトレーがある。
変身前の彼に防具として渡されたそれは、狼化した彼に奪われて、ラグの上に放り投げられた。
私の中の緊張が増したが、焦ることはない。
元からトレーで殴って逃げるつもりはないからだ。
それから肩に腕を回されそうになり、それに対しては立ち上がって拒否を示す。
捕まれば力の差で負けてしまうので、一定の距離は置かないと。
そう思い、半歩下がって挑戦的な視線をぶつけたら、彼はクククと悪党のような笑い方をした。
「なぜ逃げる。抱かれるために、俺の家に来たんだろ?」
「全然、違います」
「フン。焦らすタイプの女か。そんな面倒なことをしなくても愛してやるよ。まずは邪魔なコートを脱げ」
低く甘い声の命令と、攻撃的なまでに色香を溢れさせる瞳。
心臓を跳ねらせた私は、うっかり変身後の久瀬さんも素敵だと思ってしまう。
思わず流されてみたくなったが……その気持ちをすぐに立て直し、負けまいと彼を睨んだ。