エリート御曹司は獣でした
選ぶことのできない究極の選択を与えたつもりであったが、どうやら狼化した彼のフィルターを通したら、おじさんというワードは限りなく薄まり、可愛い女性というポイントしか残らないらしい。

だから、ぴょっこりはんの私でも襲われる。

なるほど……と感心している場合ではなかった。


私に馬乗りになったまま、彼が自分の上衣を手早く脱ぎ捨てていく。

スポーツクラブに入会せずとも拝むことができたその裸体は、想像以上に魅力的で、私の目は釘づけにされた。


広い肩幅に、筋肉質だけど、しなやかで鍛えすぎておらず、適度な弾力のある逞しい大胸筋と腹筋。

健康的な色艶の肌は頬ずりしたくなるほどに滑らかで、例えるなら、茹でたてで皮がパリッとした高級粗挽きウィンナーのようだ。


久瀬さんの体、美味しそう……。


思わずゴクリと唾を飲めば、伊達眼鏡を外され、床に放り投げられた。

一拍で距離を詰めた彼にやすやすと唇を奪われてしまい、途端に私は耳まで熱く火照る。

情熱的に舌を絡め、溢れる色気で私から意思を奪い取ろうとする彼。

女性として求められている気にさせられて、うっかり喜びかけたが……タンクトップをブラの上まで捲り上げられたことで、ハッと我に返った。
< 54 / 267 >

この作品をシェア

pagetop