エリート御曹司は獣でした
飲み物はマグカップに入った温かいお茶。
今日は後輩の八重子ちゃんが、四人分を給湯室で淹れてきてくれたのだけど、変わった味と香りがする。
斜め向かいに座ってコンビニのおにぎりを食べている彼女に、「これ、なんのお茶?」と尋ねたら、元気に「わかりません!」と言われてしまった。
「私の実家で余っていた茶葉を、ビニール袋にひとまとめにして、もらってきたんです。アップルティーとか、ほうじ茶とか、ごぼう茶とか、色々ですよ」
それに対し、私の向かいに座っている同期の香織が、「なんで混ぜてもらってくるのよ」とツッコミを入れる。
私の隣に座っている、一見おっとりした先輩社員の綾乃さんは、ウフフと笑って「八重子ちゃんらしいわね」とフォローした。
けれども、その直後にスッと真顔に戻して、「これ、ワカメじゃないかしら?」とマグカップの中を八重子ちゃんに見せている。
私も覗き込めば、確かにワカメらしきもののかけらが、お茶の中をユラユラと漂っていた。
「あ、ワカメですね。乾燥ワカメも混ぜちゃったみたいです。茶柱みたいな感じで、大当たりですね、綾乃さん!」
「ワカメ柱なんて、嬉しくないわよ……」
今日は後輩の八重子ちゃんが、四人分を給湯室で淹れてきてくれたのだけど、変わった味と香りがする。
斜め向かいに座ってコンビニのおにぎりを食べている彼女に、「これ、なんのお茶?」と尋ねたら、元気に「わかりません!」と言われてしまった。
「私の実家で余っていた茶葉を、ビニール袋にひとまとめにして、もらってきたんです。アップルティーとか、ほうじ茶とか、ごぼう茶とか、色々ですよ」
それに対し、私の向かいに座っている同期の香織が、「なんで混ぜてもらってくるのよ」とツッコミを入れる。
私の隣に座っている、一見おっとりした先輩社員の綾乃さんは、ウフフと笑って「八重子ちゃんらしいわね」とフォローした。
けれども、その直後にスッと真顔に戻して、「これ、ワカメじゃないかしら?」とマグカップの中を八重子ちゃんに見せている。
私も覗き込めば、確かにワカメらしきもののかけらが、お茶の中をユラユラと漂っていた。
「あ、ワカメですね。乾燥ワカメも混ぜちゃったみたいです。茶柱みたいな感じで、大当たりですね、綾乃さん!」
「ワカメ柱なんて、嬉しくないわよ……」