不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
……小学生の頃から、私の性格はきつかった。

思ったことをそのまま口に出してしまう性分で、ほとんどの女子を敵に回していたし、男子すらも泣かせるほど。陰で“毒舌なっちゃん”と呼ばれていたことも知っている。

それでも、仲良しグループに入るために相手の話や趣味に合わせたりするのは面倒だし、そもそもそういうものに属することが嫌いだったから、私は私の道を行けばいいと思っていた。

しかし、ひとりの男子との出来事がきっかけで、私の生き方はがらりと変わったのだ。

今朝の夢に突然登場したのが、その男子。どうして彼が出てきたのか、今ひとつだけ思い当たったことがある。

それは、Akaruに代わって応対してくれた制作部長が、彼と同じ苗字だということ。電話でそれを聞いたときも彼のことを思い出したし、きっと夢もそのせいだろう。

幼い頃の記憶を脳裏に過ぎらせながらもひとまず納得して、エントランスに待たせていた社用車に乗り込んだ。

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