不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
社長室にて今日のスケジュールを確認し合ったあと、彼はこれから行う会議資料に目を通しながら言う。


「来月は香王商事の創立五十周年記念でしたね」

「はい。お祝いのお花ですが、趣向を変えてクリスマスツリーをお贈りするのはいかがでしょう?」

「あぁ、いいですね。あちらの社長はイベント事がお好きですから」


いかに先方に喜ばれるかを想像して提案したことに対して、いい反応がもらえると嬉しくなる。

「手配しておきます」と笑顔で返し、手帳にメモをとっていると、社長が資料を手にしたままじっとこちらを見ていることに気づき、一旦手を止めた。


「どうかされましたか?」

「違っていたらすみませんが……加々美さんといい進展があったのでは?」


探るような目で突然核心を突かれ、ギョッとする。まさかそんなことを言われるとは想定外で、手帳を落としそうになるほど動揺しまくる。


「っ、ど、どうして……!?」

「なんとなく、ですよ」


社長はあたふたする私に意味深な笑みを見せ、自分の首を人差し指でトントンと突く。
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