不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
その謎の仕草に首をかしげる私をよそに、彼はすでに確信した様子で、「よかったですね。おめでとう」と祝福してくれる。

照れ臭さと奇妙さが混ざった複雑な感覚を抱くも、とりあえずお礼を言っておいた。


用を済ませて社長室を出たあと、彼がなぜ感づいたのかを考える。首をツンツンしていたけど、あれはなんだったのだろう。

不思議に思いつつお手洗いに寄り、鏡に映る自分の首をなにげなく見たとき、あるものに気づいてはっとした。首筋にうっすらと赤紫色の跡があるのだ。

これは、もしかしなくてもキスマーク……! 昨夜、耀につけられていたの!?

朝は、急いでいたから全然気づかなかった。髪をまとめたせいで、社長にも丸見えだったのだ。

恥ずかしすぎる……! これだけで気づく社長も社長だけど。見えるところにつけるな!って耀に説教してやらないと。

慌てて髪をおろし、愛し合った証と真っ赤な顔を隠して秘書課に戻る。

他の人にも気づかれていないかしら……とドキドキしながら、お抱えの花屋のサイトでクリスマスツリーを探し始めたとき、プライベートのスマホがメッセージを受信した。

名前を見てドキリとする。耀からだ。
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