不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
だから、Akaruだということに驚いただけで、彼がデザイナーやイラストレーターとして成功していることには納得だ。語彙力がなくて“すごい”しか出てこないのがもどかしい。

そりゃあ多忙で寝不足にもなるわよね、と思いつつもとにかく尊敬しまくっていると、耀は本棚のほうに移動してなにかのファイルを手に取る。


「実は、ヤツシマが販売してる、お菓子を作るおもちゃのパッケージデザインもAkaruがやってて、これが結構評判いいみたいなんだよね」


私はヤツシマの社名にピクリと反応し、彼が開いてみせたファイルの中身を覗き込む。

そこには、Akaruがデザインしたという子供向けの可愛い動物が描かれたラフが入っていた。まさか、耀とヤツシマの間にも繋がりがあったとは。


「今朝、長沼さんに直接会ってきた。彼とは仕事で関わったことはないけど、居酒屋で会ったことを覚えてたから、僕がAkaruだって明かしたらもう顔面蒼白で」


したり顔で、しかもちょっと楽しげにほくそ笑む今の彼は、完全に王子様じゃなく小悪魔だ。このブラックな耀、久々に見たわ。
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