不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
久礼社長はクールそうに見えて、意外とノリがよくて面白い人のようだ。耀も社長相手にフランクな感じがするし、きっと社内の雰囲気もいいのだろうと推測できる。

そう感じたのは、泉堂社長も同じらしい。


「あなた方がとてもいい信頼関係を築いていらっしゃることがわかりましたよ。ますますお仕事をご一緒させていただきたくなりました」


穏やかな笑みを浮かべて言う彼に、耀たちも表情をほころばせて、「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と頭を下げた。


久礼社長のおかげで、思わぬ再会で緊張してしまった気持ちが解れ、和やかな雰囲気で軽い打ち合わせに入ることができた。

社長が今回の商品について特徴やターゲット層なども説明し、私たちが求めるイメージを伝える。


「このチョコレートのコンセプトは、“忙しい日々の合間の、とっておきの楽しみや癒しとなる一粒”。Akaruさんなら、それを表現していただけると思っています」

「えぇ、僕たちも全力を尽くします。一目見て手に取りたくなる、心をワクワクさせるようなデザインにしましょう。あと、パッケージの形状についてお聞きしたいのですが……」


耀は大事な部分を逃さずメモしていて、具体的なことも積極的に質問してきた。その真剣な表情や熱心な姿勢を目の当たりにして、なんだか胸がざわめく。
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