不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
「じゃあ、課長が戻ってきたら渡しておきますね」
「えぇ、お願いします」
事務所内には研究員がいるため品よく微笑み、会釈をして去ろうとすると、倉橋さんに「あっ、綾瀬さん!」と呼び留められた。
振り向けば、彼女は私にぴたりと近寄り、書類で口元を隠して小声で言う。
「聞きましたよ、ネージュ・バリエから来てるイケメン部長さんのこと。綾瀬さんの同級生なんですね」
誰がタレこんだのかと眉をひそめたのもつかの間、あぁ社長ね、とすぐに納得した。
相変わらず仲がよろしいようで。と内心冷めた気分で、笑みを絶やさずに返す。
「そうですけど、それがなにか?」
「達……社長が言ってたんです、『あのふたりの間にはなにかありそうだ』って。それからどうにも気になってしまって」
倉橋さんは、興味津々な様子でコソコソとそう話した。
社長がそんなことを? 耀との間に特別大きな出来事はなかったけれど、社長は鋭いからなにか感じるものがあったんだろうか。
ていうか、今“達樹さん”って口走りそうになったわよね。なんか腹立つわ。
「えぇ、お願いします」
事務所内には研究員がいるため品よく微笑み、会釈をして去ろうとすると、倉橋さんに「あっ、綾瀬さん!」と呼び留められた。
振り向けば、彼女は私にぴたりと近寄り、書類で口元を隠して小声で言う。
「聞きましたよ、ネージュ・バリエから来てるイケメン部長さんのこと。綾瀬さんの同級生なんですね」
誰がタレこんだのかと眉をひそめたのもつかの間、あぁ社長ね、とすぐに納得した。
相変わらず仲がよろしいようで。と内心冷めた気分で、笑みを絶やさずに返す。
「そうですけど、それがなにか?」
「達……社長が言ってたんです、『あのふたりの間にはなにかありそうだ』って。それからどうにも気になってしまって」
倉橋さんは、興味津々な様子でコソコソとそう話した。
社長がそんなことを? 耀との間に特別大きな出来事はなかったけれど、社長は鋭いからなにか感じるものがあったんだろうか。
ていうか、今“達樹さん”って口走りそうになったわよね。なんか腹立つわ。