不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
あのときは大人になったギャップに戸惑ったけれど、普段の耀は昔からあまり変わっていないように感じる。邪気がなく、誰とでも気さくに接して皆から好かれていた、王子様のまま。
彼のような人当たりのいい女を演じていても、本当は正反対の自分が少し滑稽に思えてくる。
「……もっと人付き合いをうまくやっていかなきゃいけないと思ったから変えたのよ、人との接し方を」
気だるげに髪を掻き上げ、無表情で正直に白状した。
私が本性を隠すようになったきっかけに耀が関わっているだなんて、本人は思いもしないだろう。
できればこれからも素は隠したままでいたい。倉橋さんとは違ってこの男は面白がっていそうだし、さっきみたいにバラされたら困るから一応口止めしておかなくては。
「このこと、誰にも言わないでくれる? 今皆に持たれている自分のイメージを崩したくないの。お願い」
同じ高さにある耀の瞳を見つめ、真剣に頼み込む。きっと物わかりのいい彼なら大丈夫だろうけど、と心の隅では思いながら。
すると、私を見つめ返していた彼の唇が、ゆるりと弧を描く。なんだか優越に浸るように。
「僕に懇願する君のしおらしい姿を見るのは、ちょっと気分いいね」
彼のような人当たりのいい女を演じていても、本当は正反対の自分が少し滑稽に思えてくる。
「……もっと人付き合いをうまくやっていかなきゃいけないと思ったから変えたのよ、人との接し方を」
気だるげに髪を掻き上げ、無表情で正直に白状した。
私が本性を隠すようになったきっかけに耀が関わっているだなんて、本人は思いもしないだろう。
できればこれからも素は隠したままでいたい。倉橋さんとは違ってこの男は面白がっていそうだし、さっきみたいにバラされたら困るから一応口止めしておかなくては。
「このこと、誰にも言わないでくれる? 今皆に持たれている自分のイメージを崩したくないの。お願い」
同じ高さにある耀の瞳を見つめ、真剣に頼み込む。きっと物わかりのいい彼なら大丈夫だろうけど、と心の隅では思いながら。
すると、私を見つめ返していた彼の唇が、ゆるりと弧を描く。なんだか優越に浸るように。
「僕に懇願する君のしおらしい姿を見るのは、ちょっと気分いいね」