不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
「家の近所にはスナックくらいしかないし、会社のやつらとはうるさい居酒屋にばっかり行くから、たまにはひとりでのんびり飲みたくなるんだよな。女の子は女子会とか好きそうだけど、ひとりで落ち着いた時間を楽しめる女性ってカッコいいね。君はなんの仕事してるの?」


いや、ウザいなこの人!

さらに上機嫌になってしまわれたのか、急にマシンガントークを繰り広げる彼に、私の口元が引きつる。

勘弁して……とげんなりするも、とりあえず当たり障りのないことを答えておく。


「普通のOLですよ」

「へぇ、そうなんだ。モデルかなにかやってるのかと思ったよ。美人だし、スタイルもいいし」


舐め回すような視線を送ってくるのも気持ち悪いんですが。似たようなことはたまに言われるけれど、仕事中や接待のときとは違って下心を感じまくるから。

一気に早く帰りたくなってくるも、まだ料理もお酒も半分以上残っている。ここで帰るのはもったいないし、店主さんに失礼だ。

我慢するしかないと自分に言い聞かせ、飲み食いするペースを少し早める。しかし、三枚目オジサマの質問攻めは終わらない。
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