不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
先ほどのゲスい男性との違いにじーんとしていると、肩にポンと手を乗せられた。見上げた先には、したり顔で口角を上げる耀がいる。


「ほんと、さすがなっちゃんって感じだった」

「はぁ……大失態だわ」

「撃退できてよかったよ。でも、あんまり無茶しないこと。口では勝てても、女の子なんだから」


真剣な表情になって注意する彼は、こんな私でも女として扱ってくれて、心配してくれていることがわかる。

耀がいないまま私がキレていたら、きっともっと厄介なことになっていたはず。深く反省しながら、「ごめん」と謝った。

同時に、私を守ってくれた彼の姿を思い返す。

盾になってくれた背中は広く大きくて、とても頼もしかったな。昔はわからなかった彼の男らしさを感じて、胸がきゅっと締めつけられた。


「耀が来てくれたからすごく安心して、気が大きくなっちゃったみたい。助けてくれてありがとう」


素直にお礼も言うと、彼の顔に優しい笑みが戻っていく。この笑顔が、なにより私を安堵させてくれる。


「当然のことをしたまでですよ。……さて、とりあえず飲み直す?」


さらっと返されたあと、気を取り直すように聞かれ、私も笑って「うん」と頷いた。
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