不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
まぁ、おそらく専務は場を和ませるために言っているのだろう。もちろん泉堂社長もそれをわかっているらしく、端正な男らしい顔に笑みを浮かべて返す。


「万が一、見惚れていて用件を忘れてしまっても、彼女がいればサポートしてくれますから。仕事も完璧にこなす優秀な秘書ですので」


大人の余裕とセクシーさを醸し出す彼の対応に、私の目は感動で輝いた。

社長……! この煩悩専務に気を遣いながら私の手腕についても褒めてくれるなんて、やっぱりあなたは最高のボスだわ。

たとえ秘書以上に見てはもらえなくても、こうやって時々もらえるご褒美が嬉しいし、日々の努力が報われるから、それだけで十分なのだ。

感涙しそうになるも、表面上は至極平静に会釈をしてその場をあとにした。


三十分ほどで挨拶を終え、専務は『お茶とチョコレート、とてもマッチして美味しかったです』と望んでいた感想をくれて、最後は心晴れやかにお見送りした。

手早く応接スペースの片づけをしたら、次はこちらがデザイン制作会社に挨拶に伺わなければならない。人気デザイナーの“Akaru”に、パッケージのデザインを依頼することになったのだ。
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