不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
ほろ酔いの頭に懐かしい記憶が蘇ってきて、私はカウンターに頬杖をつき、それをさらに掘り下げる。
確か、耀が転入してきて少し経った頃、紗菜は同じクラスのリーダー格だった女子に、軽い嫌がらせを受けるようになっていた。無視されたり、悪口を言われたり……という感じで。
私はしばらく様子を窺っていたが、あるとき紗菜の教科書がなくなったことが発覚し、私が貸してあげた。
それを見ていたリーダーの女子が、『紗菜の味方するなんて許せない』だの、『ぶりっ子してる』だのと、教室の隅で仲間にひそひそ文句をつけていることに気づいたので、私はクラスの皆に聞こえるように言い返したのだ。
『私、誰の味方でもないんだけど。ていうか、教科書を貸しただけで“ぶりっ子”って、あんたの頭大丈夫? もう一回一年生からやり直したほうがよくない? これからの人生心配になっちゃうよね、武田くん』
……と、最後にリーダーの子が好きだった男子の肩にポンと手を乗せて。
彼は紗菜のことが好きだったらしいから、きっとそれで嫉妬して嫌がらせが始まったんじゃないかと、様子見しているうちに簡単に推測できていた。私だけじゃなく、ほとんどの女子は気づいていたと思うが。
確か、耀が転入してきて少し経った頃、紗菜は同じクラスのリーダー格だった女子に、軽い嫌がらせを受けるようになっていた。無視されたり、悪口を言われたり……という感じで。
私はしばらく様子を窺っていたが、あるとき紗菜の教科書がなくなったことが発覚し、私が貸してあげた。
それを見ていたリーダーの女子が、『紗菜の味方するなんて許せない』だの、『ぶりっ子してる』だのと、教室の隅で仲間にひそひそ文句をつけていることに気づいたので、私はクラスの皆に聞こえるように言い返したのだ。
『私、誰の味方でもないんだけど。ていうか、教科書を貸しただけで“ぶりっ子”って、あんたの頭大丈夫? もう一回一年生からやり直したほうがよくない? これからの人生心配になっちゃうよね、武田くん』
……と、最後にリーダーの子が好きだった男子の肩にポンと手を乗せて。
彼は紗菜のことが好きだったらしいから、きっとそれで嫉妬して嫌がらせが始まったんじゃないかと、様子見しているうちに簡単に推測できていた。私だけじゃなく、ほとんどの女子は気づいていたと思うが。