不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
Akaruは稀にイラストレーターとしても活動することがあり、私はその絵を見ると、CDでも書籍でもついジャケ買いしてしまうくらいのファンだったりする。鮮やかで心温まる色使いと、乙女心をくすぐるオシャレな絵柄が好きで。
だから今回の企画が上がったとき、私は内心ガッツポーズで歓喜していた。自分が勤める会社とコラボしてくれるなんて、光栄すぎるもの。
ただ、Akaruはプロフィールを一切公表していない。ネットを駆使して調べても、出てくるのはこれまでに手がけた商品の一覧だけ。
あちらの部長からAkaruの好物を聞き出したから、手土産は用意できたけれど……。
「電話で応対してくださるのはいつも制作部長の方ですが、今日はAkaruさん本人とお会いできるでしょうか」
「難しそうな気がします。葛城(かつらぎ)さんと違って、性別すらわかりませんからね」
準備をして社長室から移動する間に私がなにげなく言うと、泉堂社長は苦笑を漏らした。
葛城さんとは、こちらも最近コラボ商品を一緒に開発することになったパティシエだ。彼も同じく素性を明かしていなかったが、メディアに出ないだけで私たちとの打ち合わせにはちゃんと足を運んでくれている。
社長の言う通り、Akaruはさらに厳しそう。やはりお目にかかれないだろうと少々残念に思いながら、エレベーターに乗り込んだ。
だから今回の企画が上がったとき、私は内心ガッツポーズで歓喜していた。自分が勤める会社とコラボしてくれるなんて、光栄すぎるもの。
ただ、Akaruはプロフィールを一切公表していない。ネットを駆使して調べても、出てくるのはこれまでに手がけた商品の一覧だけ。
あちらの部長からAkaruの好物を聞き出したから、手土産は用意できたけれど……。
「電話で応対してくださるのはいつも制作部長の方ですが、今日はAkaruさん本人とお会いできるでしょうか」
「難しそうな気がします。葛城(かつらぎ)さんと違って、性別すらわかりませんからね」
準備をして社長室から移動する間に私がなにげなく言うと、泉堂社長は苦笑を漏らした。
葛城さんとは、こちらも最近コラボ商品を一緒に開発することになったパティシエだ。彼も同じく素性を明かしていなかったが、メディアに出ないだけで私たちとの打ち合わせにはちゃんと足を運んでくれている。
社長の言う通り、Akaruはさらに厳しそう。やはりお目にかかれないだろうと少々残念に思いながら、エレベーターに乗り込んだ。