不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
スヌーズ機能で再びアラームが鳴るまで、私はおとなしく耀の隣で温まっていた。
ようやく彼から解放されたあとは、一応朝食も食べさせてあげようと、ものすごく簡単だけれどトーストと野菜スープを作った。
実は私、あまり料理が得意ではない。これも人には言えない秘密だったりする。
こんなにシンプルなものでも、幸せそうに「美味しい」と言ってくれる耀を見て、これからは少しずつ料理も勉強しよう、と密かに心に決めた。
今日、私は普通に出勤だが、耀は一週間ぶりの休日で、会社まで鍵を取りに行ったらまたマンションに戻るらしい。
新しい歯ブラシを貸してあげてふたりで歯を磨き、まるで同棲中みたいな調子で一緒に家を出た。
なんだか非日常的な感覚で電車に揺られ、あっという間に横浜駅に着く。ここでお別れの耀は、電車が完全に止まる前に私に笑みを向ける。
「じゃあ、またね。本当にありがとう。今度お詫びするから」
「気にしなくていいよ。それよりちゃんと休んで」
体調を心配して声をかけると、耀は昨夜よりはだいぶいい笑顔で頷く。それにホッとしつつ、今日一日ゆっくりしてくれることを願って彼を見送った。