不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
「ちょっと、耀!?」


軽く危機を感じて呼びかけるも彼は聞く耳を持たず、やはり自分の部屋の鍵を開ける。中に引き込まれると、彼は玄関に自分の荷物を無造作に放り、私の背中を閉めたドアに押しつけた。

耀らしくない強引さに瞠目する私の双眼に、獣のような猛々しさを滲ませた表情の彼が映る。


「これが最後の仕返しだよ。まだ他の男のところへ行くって言うなら、ここに閉じ込める」


独占欲を露わにしたようなひとことに、一際大きく胸がざわめいた。

混乱しまくる頭でその意味を必死に噛み砕こうとしていると、なぜだか彼の表情がわずかに緩む。

そして、真剣さを絶やすことなく、どこか憂いのある笑みを浮かべた。


「僕にとって君は、愛しくて大切な存在なんだよ。だから束縛したくなるし、キスもする」


不意打ちの甘い言葉で、ドキン!と心臓が跳ね上がる。直後、再び唇が近づき、重なった。

急に熱が上がったんじゃないかと思うほど、唇がさっきよりもさらに熱く、甘く感じる。

耀が私を過保護なまでに引き止めていたのは、れっきとした愛情があったから。そう確信させられて目頭が熱くなり、込み上げるものを堪えるように瞼を閉じた。
< 99 / 124 >

この作品をシェア

pagetop