未然見合い
まあ、年に一度は帰って来ていたんだから当然と言えば、当然だけれど。
しかしながら、こんなにも懐かしさが沁みるのも久し振りで。
あれだ。恐らく翔太と再会なんてしたから。
「はあ…」
上がりっぱなしだった肩から力を抜いて、ゆっくりとベッドに寝転んだ。
ああ、何か実家の匂いがする。
鼻孔を掠めるその香りを吸い込むだけで、随分と気分が落ち着いた。
と、そのとき。
「……あれ…?」
寝転んで見上げる形になったことで、今まで気にも留めていなかったモノを視線の先が捉えた。
高い位置にあるアルバム。
そっと立ち上がって手を伸ばすと、埃の匂いと共に薄い朱色に装飾されたそれが顔を出した。
―――高校の卒業アルバム。
堂々と印字された母校の名を指でなぞると、当たり前のように翔太と過ごした日々が脳を駆け巡る。