未然見合い
「もう、いいんじゃないか?昔の好美に戻っても」
「…無理よ…」
密着していた身体が一瞬離され、至近距離からその双眸に見つめられる。
あまりに熱を帯びた瞳に映されて、どうしたら良いか分からず視線を落とした。
「高校のとき、なんで急に避けたりしたんだよ」
「……それは、」
「なんで急に、男遊びなんか始めたんだよ」
「…それは…」
「言ってくれれば、俺だって――」
「、仕方ないじゃない!!」
怒気を孕んだ声音でそう叫べば、意表を突かれたような表情で翔太は目を丸くした。
それに構わず言葉を並べていくあたしは、奥底に仕舞っていた感情のコントロールが出来なくて。
「翔太と"先輩"の情事見ちゃって、どうしたらいいのか分かんなくて」
「……は、」
「しかもそのとき自分の気持ちに気付いて、呆気なく失恋して。翔太が他の女に行くなら、あたしも他の男に行こうと思うのがいけないこと!?」